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Working with amplitude envelopes

HDRシステムは、Wwiseで設定したロジカルボリューム値を使うため、インプットサウンドの実際の振幅が把握できていない状態にあり、インプットサウンドのことを、持続する限りボリュームが一定である「ブラックボックス」とみなします。多くの場合、サウンドの振幅は変化します。例えば、アタックとリリースの部分から成るインパクトサウンドがあるとします。HDRウィンドウの位置を決めるような大きいサウンドであれば、このサウンドが終わるまでウィンドウの位置が常に一定に保たれてしまい、不自然です。ウィンドウへの影響を、図16「エンベロープなしの、ディケイするインパクトサウンドの、HDRウィンドウ」に示します。

Wwiseでエンベロープトラッキングを有効にすれば、HDRシステムが「ブラックボックス」の中をのぞくことができます。In the HDR category of the desired sound's properties, check Enable: the amplitude envelope of the audio file is then analyzed and is attached to the sound's metadata. HDRシステムがランタイムに、このデータを利用してウィンドウを適宜、移動させる様子を、図17「エンベロープ付きの、ディケイするインパクトサウンドが、小さく安定したバックグラウンドと重ねて再生される時の、HDRウィンドウ」に示します。

下図では、インプットを左側、アウトプットを右側、そして対応するアウトプット波形をその下に示します。

図16 エンベロープなしの、ディケイするインパクトサウンドの、HDRウィンドウ

エンベロープなしの、ディケイするインパクトサウンドの、HDRウィンドウ

図17 エンベロープ付きの、ディケイするインパクトサウンドが、小さく安定したバックグラウンドと重ねて再生される時の、HDRウィンドウ

エンベロープ付きの、ディケイするインパクトサウンドが、小さく安定したバックグラウンドと重ねて再生される時の、HDRウィンドウ

上の図のうち、最初の図では、インパクトサウンドのあとに水平となる部分がありますが、HDRシステムがサウンドを一定であると理解するためです。

Envelope sensitivity and manual editing

エンベロープを有効にしたあと、ソースエディタを開いて、その効果をプレビューできます(下図)。If you are unhappy with the precision and/or number of tracked envelope points, you can change the value of the sensitivity slider in the Envelope Tracking group (see 図19「Envelope Tracking in the Property Editor」). いくつかのサウンドをグループにまとめて作業するには、上位にあるサウンド構造、例えばアクターミキサーなどに対して、エンベロープを有効にして感度を設定します。なお、感度設定の効果は、元のオーディオデータに依存するため、似たサウンドの複数のバリエーションがある場合は、効果がそれぞれ異なるかもしれません。また、各サウンドのエンベロープを個別に手作業で編集することも可能で、求める結果に近いグラフを得るために、感度コントロールの調整や、点の移動、削除、追加をします。

[注釈]注釈

トラッキングしたエンベロープポイントが波形に表示されるのは、そのサウンドがHDRを有効にしたバスにルーティングされている場合だけです。

図18 Source Editor画面のRMSモードの、エンベロープ表示

Source Editor画面のRMSモードの、エンベロープ表示

図19 Envelope Tracking in the Property Editor

Envelope Tracking in the Property Editor

Region of interest: active range

一般的に、0dBから-96dBまで及ぶようなインパクトサウンドなど、レベル差の大きいサウンドがHDRウィンドウを左右するのは、サウンドが持続する間中ではなく、一定の間だけとする方が良いことが分かっています。その根拠は、HDRがラウドネスに基づく優先システムとして作用するとは言え、大きいサウンドの音の小音量の部分まで同等の重要性を持たせるべきではない、という矛盾にあります。例えば、グレネードサウンドのリリース部分は、アタックと比較して重要性が非常に低く、たとえショットガンよりも絶対値が実際に大きいとしても、ショットガンのインパクトを覆い隠すべきではありません。この場合、グレネードサウンドのROI(Region of Interest、関心領域)を、最初のインパクト部分に限定します。最初のインパクトによってHDRウィンドウが上に移動して、他を全てダッキングします。一方、リリースに入り、再生がピーク値よりも12dBほど下がった時点では、たとえグレネードのボリュームから12dBを差し引いたボリュームが、オーディオシーンの他の全てのサウンドよりもレベルが高いとしても、他のサウンドをダッキングし続けるのは望ましくないことが多いでしょう。HDRウィンドウの制御をROIに限定することは、HDR画像に例えるならば、様々な色調の領域を美しくブレンドさせる手法であると言えます。

WwiseでROIを指定するには、サウンドのピーク値から下の範囲をアクティブレンジとして、dB単位で設定します。サウンドのエンベロープがアクティブレンジよりも低くなると、サウンドのROIから出たとみなされ、HDRシステムにおいて、HDRウィンドウを左右する要因として扱われません。アクティブレンジの異なる3つの似たサウンドを、図20「アクティブレンジ」に示します。

図20 アクティブレンジ

アクティブレンジ

一定のバックグラウンドサウンドの上で、ディケイする同じサウンドが3回、再生され、そのアクティブレンジは、それぞれ96dB、12dB、6dBに設定されています。サウンドが、ピーク値からこのdB数だけ下がると、ウィンドウがサウンドを追うことを止め、リリースしてアイドル状態に戻ります。ウィンドウの移動は、バックグラウンドサウンドのレベルに明らかに影響します。一方、ウィンドウもアクティブレンジも、リリースサウンド自体には全く影響を与えません。


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