バージョン

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Wwise SDK 2024.1.1
2017.2 新機能概要

Stateの改善

多くのRTPCプロパティが、Stateでも利用可能

複数のRTPCカーブに対応できるオーディオプロパティ全てと、各種Wwiseプラグインのプロパティのほぼ全てが、Stateでコントロールできるようになりました。オーディオオブジェクトやプラグインに、Stateのプロパティを新しく追加するには、State Propertiesビューを開いて、以下のようにプロパティを選択するだけです。オブジェクトごとに、またはプラグインごとに選択できるので、プロジェクトで使えるあらゆるプロパティにスペースを無駄に使う必要がありません。

Stateを使って調整できるプロパティがどれか分かるように、新しいStateアイコンを、リンク・アンリンクやRTPCのアイコンの隣に追加しました。

ミキシングデスクのワークフローの効率化

Stateの変化に対応するState Groupを、簡単に変更できるようになりました。これで、モーター付きコントローラ上でStateが変化すると、フェーダーが動くようになります。また、State Groupの展開表示や縮小表示も可能になり(他のメインカテゴリであるMonitoring、Positioning、Effectsなどでも可能)、Mixing Deskのセッションに複数のState Groupが入っている時などに便利です。

Spatial Audio: 音の伝播、部屋、ポータルなど

Spatial Audioの開発は2017.2でも進められ、特にユーザビリティの向上、ランタイムの効率化、柔軟性の改善などを通して、既存機能が拡張されました。以下が、主な内容です:

  • 音の伝播
    • エミッタ―からリスナーに到達するまでの音の通り道(パス)を、1つまたは複数のポータルを経由させることができます。
    • 音がリスナーに最も近いポータルから出ているかのように、音にバーチャルポジションが付与されます。
  • 部屋と部屋の間の、スムーズなトランジション
    • ポータルが点音源からボリュームに変わり、ポータルを経由する時のパンニングとスプレッドが、よりスムーズで正確になりました。
    • 部屋のリバーブが、距離の変化に応じてスムーズに自動的にクロスフェードするようになりました。
    • スペーシャリゼーションしたポータルゲームオブジェクトを、リスナーの部屋にも送れるようになりました。
  • ディフラクションモデリング
    • ディフラクション(回折)は、0°(回折なし)から180°までの角度として表現されます。オブストラクションや、新しい組み込みパラメータのDiffractionを使って、動かせます。
    • エミッタ―のドライパス(複数可)と、部屋のウェットパスは、角度が異なります。ドライディフラクション(dry diffraction)角度は、直線パスとの差であり、ウェットディフラクション(wet diffraction)角度は、ポータルのノーマルから測った角度のことです。
  • 基本的なトランスミッションモデリング
    • エミッタ―からリスナーまで、ポータルを経由するパスが見つからない場合は、音の伝達パスが壁を通過します。
    • 部屋に壁のオクルージョン値をタグ付けして、それを利用してエミッタ―にWwiseオクルージョン値を設定します。
  • ポータルのオブストラクション
    • Spatial Audio APIによって、ゲームによって決まるオブストラクション値をポータルオブジェクトに設定できます。
  • プロファイラーの改善
    • LPF値とHPF値で、Advanced ProfilerビューのVoices Graphタブのボリューム値が補完されるようになりました。
  • 効率的なゲームオブジェクト活用
    • リスナーが室内にいない場合は、ポータルで複数のポジションを有効利用するようになり、その結果、2017.1と比べて重要なパフォーマンス改善となりましたが、これは1部屋につきインスタンス化されるゲームオブジェクトが1つだけだからです。
    • リスナーが室内にいる場合は、リスナーを追うポジション1つ(オリエンテーションは使用せず)を使います。 UE4やUnityとのインテグレーションと、インテグレーションデモで示されたSDKの例を、提供中です。

バス内(やバス上)のフィルター

サウンドエンジンのオーディオグラフに表示される組み込みローパスフィルター(LPF)やハイパスフィルター(HPF)の表示方法を工夫して、Wwiseユーザーパラメーター、減衰、オクルージョン、オブストラクションなど、様々な機能から出るフィルター値を、より分かりやすくモデル化しました。今まで、ボイス出力に対するWwiseのフィルターは1つだけで、このフィルターのために競合する複数のパラメータ値を1つの数値に論理的に統合する必要があったため、最小値だけが使われました。Wwise 2017.2では、バスの出力など、個々の出力別に個別のフィルターを利用できるようになり、異なるレイ(ray)や出力バスなどの値を統合する必要がなくなりました。

例えば、複数のリスナーシナリオを使う場合に、その利便性がよく分かります。複数のリスナーがあるゲームオブジェクトは、それぞれのリスナーとの距離が異なるかもしれないので、リスナー別に減衰カーブを分析します。このカーブでローパスフィルター値が決まりますが、今までのバージョンのWwiseではボイス1つに対して使えるローパスフィルター値は、1つだけでした。これからは、1つのボイスを各リスナーの出力バスインスタンスに対してミキシングしたあとに、正しいフィルター値(カーブを分析して決定)を、それぞれの出力バスに適用します。

バスに新たに、Output Bus Volume、Output Bus LPF、Output Bus HPFの3つのコントロール機能が追加されて、ミックスバスの出力にフィルターを適用できるようになりました。また、User-definedセンドに対するローパスフィルターやハイパスフィルターも、RTPC経由で可能になりました。

新たな組み込みパラメーター: リスナーコーンとディフラクション

  • Listener coneは、リスナーのフロントベクター(目線)とエミッタ―ポジションの間の角度を示します。リスナーコーンをRTPC経由で実行するために使えます。これは、例えばフロントコーン外にあるエミッタ―の重要度を下げたり、マイクのポーラーパターンをシミュレーションしたりするときなどに便利です。
  • Diffractionは、エミッタ―とリスナーの間の角度で、ポータルと合わせて使います。組み込みのディフラクション(回折)パラメータ―は、0°(回折なし)から180°までの角度として表現され、例えば部屋のドライパスとウェットパス用に異なる減衰カーブを形成するために使えます。

アンビソニックスIRをWwise Convolution Reverbと共にパッケージング

プラグインと同じパッケージ内に、元のWwise Convolution Reverbに含まれていたシェアセットやステレオインパルスレスポンスが、全てアンビソニックスの該当する機能と共に提供されます。既にConvolution Reverbのライセンスを取得してあるプロジェクトでは、Wwiseの"Import Factory Assets..."メニューを選択するだけで、インパルスレスポンスのアンビソニックス版を入手できます(場合によって、最初にAudiokinetic Launcherでこれらをダウンロードする必要があります)。

オーディオ出力管理、モーションのリファクタリング

オーディオ出力管理やモーションのリファクタリングで柔軟性が広がり、今後の出力管理の改善やハプティックデバイス対応などの基盤が整備されました。

オーディオ出力の管理

  • オーディオ出力管理は、Wwise AuthoringでAudio Device ShareSetsをマスターバスにアサインすることで、ほぼまかなえるようになりました。
  • Master-Mixer Hierarchyで作成できるマスターバス数が無制限となり、具体的なオーディオデバイスにアサインできます。
  • 独立したAudio Deviceシェアセットを作成して、ボイスチャットやユーザーミュージックなど特定のオーディオコンテンツを、ゲームコントローラ―や物理的な代替出力など特定のオーディオデバイスに出力できます。
  • マスターバスで、オーサリング用とランタイム用の出力デバイスを別々にアサインすることができるので、音の複雑な実装の開発中に素早く試聴ができるようになるなど、複数の利点があります。

Wwiseモーションのリファクタリング

ゲームコントローラ―のバイブレーションに対応するためにWwise Motionが使うモーションシステムが、リファクタリングされました。専用コードパスを使わず、オーディオと同じ機能セットやAPIを利用します。方式をシンプルにしたことで、VRキットやモバイルプラットフォームなどのデバイス向けにサードパーティが提供する、ハプティックプラグインに対応できるようになります。

WwiseオーサリングAPIの改善

WwiseオーサリングAPIの新機能

WAAPIのアーリーアダプター達からリクエストがあったいくつかの機能を、2017.2に追加しました。その一部をここでご紹介します!

  • コンピューター間で転送しやすくするために、オーディオファイルをbase64からディスクに書き込まずにインポートできるようになりました。
  • Switch Containerとオーディオオブジェクトの関連付けを、WAAPIで集約したり編集したりできるようになりました。
  • WAAPI APIにクエリをかけて、利用可能なすべての機能を入手できるようになりました。各機能の情報が、そのJSONスキーマと共に返されます。
  • WAAPIでWwiseを前面表示させて、そのプロセスIDを表示させることができます。
  • Wwiseサーチが、コマンドラインインターフェースから利用できます。
  • WAAPを使うアプリケーションを、トランスポートアクティビティ通知にサブスクライブさせることができます。

ゲームエンジンのインテグレーション - Unity

Wwise Spatial Audio

Spatial Audioスイートが、Unityインテグレーションに完全にインテグレートされました。また、細かい手順を追ったチュートリアルがあるので、機能の詳細を確認できます!

単純なオブストラクション、オクルージョン

Ak Emitter Obstruction Occlusionコンポーネントをエミッタ―に適用して、音のオクルージョンやオブストラクションを行える基本的なレイキャスト(ray-cast)システムを提供します。シーン内のAk Roomコンポーネントの有無で、以下の通り、オクルージョンとオブストラクションのどちらを適用するのかが決まります。

  • Ak Roomコンポーネントがシーンに加わると、Ak Emitter Obstruction Occlusionコンポーネントは、オブストラクションを使用します。
  • シーン内にAk Roomコンポーネントがない場合は、Ak Emitter Obstruction Occlusionコンポーネントは、代わりにオクルージョンを使用します。

ゲームによって、このシステムでは初歩的過ぎるかもしれませんが、オクルージョンやオブストラクションを管理するためのシンプルで分かりやすいメカニズムを必要とする多くのプロジェクトで、役に立つと考えられます。

タイムライン、オーディオのスクラブ再生

タイムライン上のどこからでも再生できるようになり、例えばインゲームの画像編集の際にコントロールしやすくなります。オーディオのスクラブ再生にも対応しているので、オーディオを動画に同期させるときに便利です。

サウンドバンクの自動管理

サウンドバンクのマニュアルコピーを、StreamingAssetsフォルダに入れておく必要がなくなりました。新たに導入されたビルド前のプロセスで、サウンドバンクを生成してコピーして、Unityのビルドパイプラインの適切な場所に保存するようになりました。

新C#スクリプト

MIDI Eventを、C::スクリプト経由でWwiseにポストできるようになりました。さらに、Wwise Audio InputソースプラグインをC::スクリプト経由でアクセスできるようになりました。

Editorでプレビュー

Playモードに入らなくても、Inspectorビューで音をプレビューできるようになりました。

ゲームエンジンのインテグレーション - Unreal

シーケンサーで、DAWと似たワークフロー

Unreal Sequencerが大幅に改善され、 オーディオのスクラブ再生、トラック内シーク、波形の表示などに対応しています。これらの改善は、特にインゲーム動画の編集や、リニアVRやインタラクティブVRのエクスペリエンスの編集作業に便利です。

UE4でWAAPIインテグレーション

  • UMG Widget Library: WAAPIを使えば、UnrealからWwiseを直接コントロールできます。この新しいウィジェットライブラリで、自分のチームのワークフローを最適化するためにUnrealで自分のカスタムUIをビルドできます。
  • Blueprint: WAAPIをBlueprintからアクセスできるようになったので、組み込みUMGウィジェットを使ってWwiseをコントロールできます。
  • Wwise Picker: 新しいWAAPI対応Wwise PickerがUE4インテグレーションに追加され、一部の操作(オーディオオブジェクトの選択、ボリューム変更、再生・停止など)をUnreal Editorから直接実行できるようになりました。

リスナーの改善

AkComponentsが、複数のリスナーに対応できるようになりました。さらに、表示中のビューポートのカメラポジションを追うリスナーが、Unreal Editorに追加されました(Play in Editorモードの時以外)。これを使って、例えばAnimation Editorで、音や距離減衰などを直接プレビューできるようになりました。


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