バージョン
Mastering Suiteは複数のモジュールで構成され、それぞれが実行する処理量は異なります。各モジュールの処理負荷は、そのコンフィギュレーションによって違います。以下のセクションで、Mastering Suiteの様々なコンフィギュレーションの処理負荷を詳しく説明します。
なお、Mastering Suiteの処理負荷は、WwiseのAdvanced Profiler CPUタブで測定しました。WwiseをIntegration Demoアプリケーション(Wwise SDKの一部として提供)に接続し、Mastering Suite Effectをインスタンス化しました。測定は、AMD Ryzen 3700X CPU、 クロック4.0GHzのWindowsで行いました。
下表は、7.1.4(12チャンネル)の、ミックスされたアウトプットチャンネルコンフィギュレーションのAudio Deviceにおける、Mastering Suiteのパフォーマンスコストを一覧にしたものです。パフォーマンスコストは、CPU使用率(%)として測定されています。このEffectは、シングルCPUコアで処理されます。2種類のMastering Suiteモジュールのコンフィギュレーションを使いました(下記リストの通り)。パフォーマンスコストの測定は、全モジュールがアクティブな状態で行ったあとに、モジュールを1つずつアクティブにした状態で行いました。
前述の通り、Audio Deviceはミックスされたアウトプット用に設定されているので、Audio Objectの処理は行いません。オブジェクトを有効にしたパイプラインのパフォーマンスコストについては、別のセクションで説明します。
コンフィギュレーション(Config)1: Parametric EQはアクティブでバンド数は6、Compressorはアクティブでバンド数4、Volumeはアクティブ、LimiterはアクティブでモードはSoft。
コンフィギュレーション(Config)2: Parametric EQはアクティブでバンド数3、Compressorはアクティブでバンド数2、Volumeはアクティブ、LimiterはアクティブでモードはSoft。
アクティブなモジュール | Config 1のCPU使用率 | Config 2のCPU使用率 |
---|---|---|
全モジュール | 1.15% | 0.57% |
Parametric EQのみ | 0.30% | 0.20% |
Compressorのみ | 0.75% | 0.34% |
Volumeのみ | 0.10% | 0.10% |
Limiterのみ | 0.23% | 0.23% |
下表は、Limiterモジュールの各種モードの処理負荷を比較したものです。測定の条件は、前セクションに記載された条件と同じです。
Limiter Mode | CPUへの負荷 |
---|---|
Hard | 0.16% |
Soft | 0.23% |
Advanced | 0.23% |
このセクションでは、Audio DeviceのコンフィギュレーションをObjectベースのパイプライン用にしたときの、Mastering Suiteのパフォーマンスコストを詳しく説明します。今度は、Mastering Suiteが処理するオーディオストリームが以下の3つとなります:
Main mix: 最終的なミックスのチャンネルコンフィギュレーション。
Stereo Passthrough: Stereoチャンネルのコンフィギュレーション。
Audio Objects: 個々のAudio Objectを、Audio Deviceへ個別に送る。
処理負荷はAudio Object処理の方が高く、サポートされるAudio Objectの最大数に直接比例します。下表は、Audio Objectの対応数の上限が異なる場合のパフォーマンスコストの一覧です。
Objectベースのパイプラインを処理する際の重要な違いは、プロファイリング中に各Audio Objectのメーター値(Compressor、Limiter)を算出するための処理が追加で必要な点です(下図参照)。この追加の処理が、Advanced ProfilerのCPUタブに表示されるパフォーマンスコストの測定値に反映されます。この値はMastering Suiteの真のパフォーマンスコストを反映するものではなく、Mastering Suiteのリリースビルドにプロファイリングコードは含まれません。追加処理を除外した真のパフォーマンスを取得するために、Mastering SuiteのReleaseビルドを使いました。下表は、これらの値の一覧です。
コンフィギュレーション: Parametric EQはアクティブでバンド数6、Compressorはアクティブでバンド数4、Volumeはアクティブ、LimiterはアクティブでもモードはSoft。
Audio Object最大数 | CPU使用率、プロファイリングあり | CPU使用率、プロファイリングなし |
---|---|---|
40 | 5.30% | 4.30% |
20 | 3.90% | 2.90% |
コンフィギュレーション: Parametric EQアクティブ、バンド数3、Compressorアクティブ、バンド数2、Volumeアクティブ、Limiterアクティブ、モードはSoft。
Audio Object最大数 | CPU使用率、プロファイリングあり | CPU使用率、プロファイリングなし |
---|---|---|
40 | 2.80% | 2.00% |
20 | 2.00% | 1.50% |