バージョン
アンビソニックスはbinauralizerなどの3Dレンダラに利用するために適したフォーマットです。Audio Objectと異なりエフェクトや3Dレンダラが処理するチャンネル数が固定される一方、方向性の精度がやや損なわれます。実現される精度はアンビソニックオーダーとして選択する1次から5次までに比例します。
一方Objectベースパイプラインはより精度の高い方向性を提供します。処理負荷に関わらず各オーディオオブジェクトの3Dポジションをそれぞれ保つためです。このためサウンドデザイナーはAudio Object数を制御して処理負荷を抑えるために、ほかの手段を見つける責任があります(Voice Limitingや 「3D Audio Bed Mixer」 プラグインなど)。
WwiseのObjectベースパイプラインはオーディオオブジェクトに対応していると同時に、アンビソニックスなどのその他のフォーマットにも対応しています。つまりこれら2つの表現方法は相互に排他的ではありません。例えば、オーディオオブジェクトを使用して方向性の最適レンダリングを適用することが最も適したサウンドのメタデータを保持し、それ以外のサウンドではアンビソニックスを使用することができます。オーディオオブジェクトの観点ではオーディオオブジェクトとして保存されるサウンド以外はすべて ベッド に送られます。アンビソニックスのスペーシャル表現は回転に左右されず全方向で精度が均一であるため、ベッドの表現方法として理想的です。
最上位のオーディオバスをオーディオオブジェクト使用の設定にする必要がありますが、子アンビソニックバスをベッド用に作成することができ、それに送られるサウンドはアンビソニックダウンミックスが強制されます。親バスに直接送られるサウンドはオーディオオブジェクトとして処理されます。アンビソニックベッドも1つのマルチチャンネルオブジェクトとして処理されます。
Wwiseにオブジェクトのbinauralizerエフェクトのソフトウェアは同梱されていませんが、一部のプラットフォームはAudio Deviceレベルでオーディオオブジェクトのバイノーラル化に対応しています。Windows Sonicはその一例です。この場合はMaster Audio BusがオーディオデバイスのAudio Object構成を継承するため、アンビソニックベッドをその直下の子とすることができます。
Objectベースパイプラインにおけるオーディオデバイスの役割の詳細は 「The role of the System Audio Device」 を参照してください。