バージョン
(以下の 「RoomVerb properties」 を参照してください。)
ゲーム内音響空間における音の反射をシミュレートするために、RoomVerb プラグインを使用することができます。このプラグインエフェクトは、あらゆるタイプの空間の再現を可能にする多様な制御機能を持つ汎用性の高いリバーブです。このリバーブプラグインは、高度に最適化されたMatrix Reverbより多くのCPUを使用しますが、追加的な制御機能を使用可能なので、よりリアル感のある結果を生み出すことができます。
RoomVerbのプロパティの多くはリアルタイムで編集でき、RTPCを使用して特定のGame Parameterにマッピングすることができます。RTPC経由で変更したプロパティはすぐに反映され正しく線形補間が行われるので、オーディオアーティファクトは発生しません。Game Parameterにマッピングできないプロパティも、Wwiseで再生中に随時変更できます。ただし、このようにプロパティを変更するとエフェクトの一部が事実上リセットされるので、アーティファクトが発生する場合もあります。
Wwise RoomVerbプラグインは、そのアルゴリズムで次の概念を考慮します:
モーダル(または周波数)密度 - モードは、オーディオ信号の周波数領域表現におけるピークのことです。モード密度を上げることにより、たいていの音響空間シミュレーションにおいて、リバーブ(残響)のリアリズムを向上することができる。モード密度が低いと共鳴音が生じうる。
エコー密度 - リバーブアルゴリズムによって生成される秒あたりのエコー量。この数値が低すぎると、けたたましい音が知覚されます。この数値が高すぎると、非常に「密な」響きのリバーブが聞こえます。
サウンドにRoomVerb エフェクトが適用されると、オーディオ信号は次の2つの部分に分割されます:
ドライ信号(Dry signal) - 直接信号または信号の未処理部分。
ウェット信号(Wet signal) - 処理済み信号またはRoomVerbエフェクト設定が適用される信号部。
RoomVerb信号のウェット部分は、2つの主要部分から構成されています。信号の最初の部分には、アーリーリフレクション(ER)コンポーネント、2つ目の部分にはリバーブコンポーネントが含まれています。ERコンポーネントは、エフェクト処理とメモリ割り当てを最適化できえる柔軟性を与えてくれるオプションです。エフェクトプラグイン内の様々な設定により、1つの出力信号を生成するために元のドライ信号とリミックスされている実際のERとリバーブユニットを定義できます。次の図は、RoomVerbエフェクトが適用されたサウンドの処理パイプラインを示しています。
項目 |
内容 | |||
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Name |
エフェクトインスタンスの名前。 エフェクトインスタンスは、エフェクトのプロパティ設定をまとめたものである。カスタムインスタンスとShareSetの2つのタイプがある。カスタムインスタンスは1つのオブジェクトだけに使用できるのに対し、ShareSetは複数のオブジェクト間で共有できる。 | |||
オブジェクトのカラーを示します。アイコンをクリックすると、カラーセレクタが開きます。 カラーを選ぶと、オブジェクトに適用されます。オブジェクトのカラーを選択すると図示の通り選択したマスにパレットアイコンと、右下に黄色い三角形が表示されます。 親オブジェクトのカラーを継承するにはカラーセレクタの左端にあるマスを選択します。 | ||||
Inclusion |
SoundBankを生成する時にエレメントを含めるかどうかを指定する。選択すると、このオブジェクトが含まれる。選択しないと、含まれないことを示す。 サウンドデザインをプラットフォームごとに最適化するために、一部のエレメントを特定のプラットフォームで除外することができる。デフォルトで、このチェックボックスは全プラットフォームに適用される。チェックボックスの左側にある Linkインジケータ を使用し、エレメントをアンリンクする。その後にチェックボックスの状態をプラットフォームごとにカスタマイズできる。 このオプションを選択しないと、エディタのプロパティオプションや動作オプションが設定ができなくなる。 Default value: true | |||
このオブジェクトを直接参照する、あなたのプロジェクトにある要素の数を示します。アイコンの色は、このオブジェクトを参照するものがあればオレンジ色、参照するものがなければ灰色です。 ボタンを選択すると 「Referenceビュー」 が開き、 References to: フィールドにオブジェクト名が表示されます。 | ||||
Notes |
エフェクトに関する追加情報。 | |||
Metering |
Meterで測定中のオブジェクト名を示す。 | |||
Meterで測定できる、ほかのファイルを閲覧。
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Effect Editorで選択したタブの、表示方法を設定。デフォルトで、1つのパネルに、選択中のタブが1つだけ表示される。スピリッターボタンをクリックすると、パネルが左右または上下に2分割され、2つの異なるタブが表示される。現在選択中のオプションが、バックグランドカラーを入れてハイライトされる。
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Early Reflections「アーリーリフレクション」 | |
Enable Early Reflections |
信号の初期反射(アーリーリフレクション)成分が計算および処理されるかどうかを指定する。 Default value: true |
ER pattern「ERパターン」 |
特定の音響空間に特徴的な予め定められたアーリーリフレクション(初期反射)到着時間(ミリ秒)とゲイン(リニア)を含むぱパターン。 |
ER Room Size |
ERパターンに適用されるタイムスケーリングを設定する。 値がゼロの場合、選択されたERパターンのタイムスケーリングが存在しないことを意味し、値が100の場合は各初期反射を受信する前にかかる時間が倍加、値が-100の場合は選択されたERパターンにかかる時間が半減される。最初の初期反射時間は、モデル化された音響空間サイズの良い知覚的手がかりとなる。 Default value: 0 Range: -100 to 100 |
ER Rear Delay |
フロントおよびリアチャンネルに供給される初期反射音間の時間遅延。 非ゼロのリア遅延値とサラウンド信号を、Dolby Pro Logic 2などのようなマトリックス符号化システムと組み合わせて使用すると、アーチファクト(異音)(通常はコムフィルタリングなど)が発生する場合がある。これは、例えばXbox 360 プラットフォーム上でアナログステレオ出力を聴いている時などに発生する。 単位:ms Default value: 0 Range: 0 to 100 |
Reverb | |
Pre Delay |
直接音と高密度リバーブテイルの開始までの時間を決定する。Pre DelayはExclusive RTPCに対応しているが、再生前の初期化だけに使用すること。再生中に、RTPCを使いPre Delayをリアルタイムで変更すると、ディレイバッファが際限なく再初期化されてしまい、急な沈黙やリバーブ信号の変化が生じてしまう。 単位:ms Default value: 25 Range: 0 to 1000 |
Decay Time |
サウンドの低周波が元の振幅から60dB低下するのにかかる時間。 単位: s Default value: 1.2 Range: 0.2 to 10 |
HF Damping |
低周波に相対的な高周波のリバーブタイムを制御するために使用されるロールオフ係数。 この比の値が1以下の場合、高周波のリバーブタイムは低周波のリバーブタイムより長くなる。 Default value: 2.25 Range: 0.5 to 10 |
Density |
知覚されるモーダル密度を直接変更する。値を小さくすると、リンギングが多くなり、値を大きく設定するとノイズの多いリバーブテイルのある周波数のフラットなサウンドになる。 ディレイラインが長いほどモード密度が高くなるため、このプロパティはプラグインが使用するメモリやCPUの量と正比例の関係にある。より長い遅延ラインはより大きな空間に類似しているので、このプロパティを知覚される部屋の大きさを制御するのに使用することができる。このプロパティは、‘Room shape’ および ‘Quality’ プロパティと密接に連携していなっている。 単位:% Default value: 80 Range: 0 to 100 |
Room Shape |
一定のモーダル密度を維持しながら、アルゴリズムで使用される遅延の長さを(Densityプロパティとともに)制御することで リバーブの知覚カラレーションを決定する。通常、ルームシェイプ設定の値が高いと、最長および最短の遅延の長さ間の相違が少なくなる。これは、例えば立方体などの規則的な形状をした部屋に類似していなっている。ルームシェイプ設定が低いと、遅延ライン間の相違が大きくなる。 各Density値ごとに異なるルームシェイプ設定をお試しになることをお勧めする。 単位:% Default value: 100 Range: 0 to 100 |
Quality |
アルゴリズムに使用されるリバーブユニット数を決定する。Quality値が高いと、リバーブのオーディオ品質を変えることができるが、CPU 使用率が値に比例して高くなる。 Qualityを高くする場合は、Densityを低くすることも可能で、また、その逆も同様に可能。例えば、Quality値が低い場合(例えば2など)、リアルな残響を作り出すのに必要なエコー密度が提供されないことが多くなる。Quality値が高いと、より反射性のある部屋のエフェクトを生成することができる。 単位: Reverberations Default value: 8 Range: 2 to 16 |
Diffusion |
リバーブ特有のエコー密度を直接制御する。ディフュージョン値が低いと、各エコーがはっきりと知覚できるけたたましいサウンドになる。ディフュージョン値が高いと、リバーブテイルが高密度になる。また、ディフュージョン値が高いと、トランジェント信号が、ある時間間隔にわたるそのエネルギー拡散に合わせて不鮮明になる。このプロパティのエフェクトは、例えば、スネアドラムをたたく音などシャープなトランジェントを持つマテリアルで顕著になる。 単位:% Default value: 100 Range: 0 to 100 |
Stereo Width |
左チャンネル(フロントおよび/またはリア)と右チャンネル(フロントおよび/またはリア)に出力するER + リバーブコンテンツ間の類似性を決定する。これにより、アーリーリフレクションとリバーブのステレオ拡散を大きくし、より強い空間間隔を生み出すことができる。 値が0の場合、ER + リバーブの左右チャンネルへの出力は同じになる。結果として、いくらかのメモリおよび CPU 最適化を獲得することができる。値が180の場合、両サイドに完全に異なるER + リバーブ信号が送られる。このエフェクトは、エフェクトを減少させるスピーカー信号間のクロストークが存在しないヘッドホンでモニタするとより強くなる。 このプロパティは、1.0(モノ)または1.1チャンネルのサウンドには影響を及ぼさない。 単位:° Default value: 180 Range: 0 to 180 |
Tone「トーン」 | |
Enable Tone |
シェルビングおよびピーキングフィルタをリバーブ信号の様々なコンポーネントに適用できるかどうかを指定する。選択されている場合、最大3つの異なるフィルタを適用可能。各フィルタは、信号チェインの様々なポイントに挿入可能。 Default value: false |
Filter Band Insert |
信号チェーン内のどの時点でフィルタが適用されるかを決定する。以下の挿入ポイントが利用可能:
アーリーリフレクション(Early reflections)オプションが選択されていない場合は、選択される挿入ポイントに関係なく、ERコンポーネントが常に無視される。 Default value: ER + Reverb |
Filter Band Curve |
信号に適用可能なフィルタリングタイプを決定する。以下のようなフィルタが利用可能:
Default value: High shelf |
Gain |
選択された周波数帯域に対してオーディオ信号が増幅される量。この値を上げると、オーディオ信号がブーストされる。この値を下げると、オーディオ信号がカットまたは減衰される。 単位: dB Default value: 0 Range: -32 to 32 |
Filter Band Frequency |
ゲインの影響を受ける周波数スペクトルの部分。 単位: Hz Default value: 10000 Range: 20 to 20000 Units: Frequency |
Filter Band Q |
ゲインの変化に影響を受ける中心周波数の周りの領域。低いQ値は、帯域範囲が広くなることを意味し、逆に高いQ値は、帯域範囲が狭くなることを意味する。 Qプロパティは、カーブ(Curve )プロパティがピーキング(Peaking)に設定されている場合にのみ使用可能。 Default value: 1 Range: 0.1 to 10 |
Input Levels「入力レベル」 | |
Center Input Level |
リバーブアルゴリズムの提供に貢献するセンターチャンネルのアマウントを決定する。 Default value: 0 Range: -96.3 to 0 Units: dB |
LFE Input Level |
リバーブアルゴリズムの提供に貢献するLFEチャンネルのアマウントを決定する。 Default value: -96.3 Range: -96.3 to 0 Units: dB |
Reverb Levels「リバーブレベル」 | |
Front Level |
フロント左右のチャンネルに適用される後期リバーブのアマウントを制御する。このプロパティコントロールは、明示的に制御可能なセンターチャンネルには影響を与えない。 このプロパティは、リアチャンネルの存在しないチャンネル構成では効果がない。これらのチャンネル構成では、ウェットレベル(ER + Reverb)の制御がより直感的。 Default value: 0 Range: -96.3 to 0 Units: dB |
Rear Level |
リア左右のチャンネルに適用される後期リバーブのアマウントを制御する。 このプロパティは、リアチャンネルの存在しないチャンネル構成では効果がない。これらのチャンネル構成では、ウェットレベル(ER + Reverb)の制御がより直感的。 Default value: 0 Range: -96.3 to 0 Units: dB |
Center Level |
センターチャンネルに適用される後期リバーブがある場合に、そのアマウントを制御する。 Default value: 0 Range: -96.3 to 0 Units: dB |
LFE Level |
LFEチャンネルに適用される後期リバーブがある場合に、そのアマウントを制御する。 Default value: -96.3 Range: -96.3 to 0 Units: dB |
Output Levels「出力レベル」 | |
Dry Level |
ダイレクトパスサウンドに適用されるゲイン係数を決定する。 Default value: -96.3 Range: -96.3 to 0 Units: dB |
ER Level |
アーリーリフレクション(初期反射)信号に適用されるゲイン係数を決定する。 この制御は、「アーリーリフレクション(Early reflections)」チェックボックスが選択されていない場合には影響しない。 Default value: -20 Range: -96.3 to 0 Units: dB |
Reverb Level |
リバーブ信号(リバーブテイル)に適用されるゲイン係数を決定する。 Default value: -20 Range: -96.3 to 0 Units: dB |
Estimated memory usage「推定メモリ使用量」 |
エフェクトを生成するために使用される推定メモリ量(KB)。この推定量は、サラウンド設定を前提としています。リア左およびリア右チャンネルが存在しない場合、使用されるメモリ量は表示される量よりわずかに少なくなります。 Windowsプラットフォームの場合、この値はサウンドクオリティ(AkSoundQuality)がHigh (48kHzのサンプリングレート)に設定されていることを前提としています。サウンドクオリティがLow(24kHzのサンプリングレート)に設定されていると、一般的にメモリの推定量は表示される値の半分になります。 |