バージョン
バスのプロパティ設定を利用して、ゲームのオーディオやモーションに対してグローバル(プロジェクト全体を対象)に変更を適用できます。バスのプロパティ設定で、以下を行えます。
バスは制御設定の最終レベルであるため、変更を行うとその下にある全てのオブジェクトが影響を受けます。
オブジェクトの場合と同様に、バスに対してもエフェクトの適用、RTPCの使用、Stateのアサイン、詳細プロパティの設定ができます。詳しくは、以下のセクションを参照してください。
相対プロパティは、階層のバスごとに設定します。相対プロパティは累積されるので、1つのバスのプロパティ値はその下にある子オブジェクトに加算されます。
バスに設定できる3つの相対プロパティは、以下の通りです。
Bus Volume: バスに直接適用される減衰。
Voice Volume - バス内の再生中のオーディオストラクチャに適用される減衰。
Voice Pitch - バス内の再生中のオーディオストラクチャの、再生スピード。
Multi Editorで、複数のバスの相対プロパティを同時に編集できます。Project ExplorerのAudioタブで複数のバスを選択してから、ショートカットメニューでShow in Multi Editorを選択します。また、ゲームに接続した状態で、リアルタイムにこれらのプロパティの微調整も行えます。
バスの相対プロパティを設定するには
Property Editorにバスを1つロードする。
数値を入力するか該当スライダをドラッグして、相対プロパティ値を設定する。
注釈 | |
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ピッチは、ミュージックオブジェクトをルーティングするバスに対して設定しないでください。ミュージックオブジェクトは、Audio Busのピッチを変更しても影響されません。 |
ゲーム中に、特定のオーディオ信号を目立たせたい場合もあります。ダッキングを使うことで、1つまたは複数のバスを通るオブジェクトのボリュームを、別のバスの信号によって自動的に下げることができます。例えば、キャラクターが話している間にバックグラウンドミュージックのボリュームを下げます。キャラクターが話すのをやめると、バックグラウンドミュージックは元に戻ります。
以下のタイムラインでは、現在のバスがサウンドを再生すると、他のバスはFade OutとVolumeの各パラメータに応じてフェードアウトします。現在のバスのサウンドが終わると、Recoveryタイムが経過した後にFade Inが続きます。
注釈 | |
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オートダッキングの代わりに、Meter Effectプラグインでサイドチェインを使うこともできます。この方法では、ソースバスのレベルに応じて、ターゲットバスのレベルをダイナミックに変更します。そのため、現在のバスにサウンドがあるたびに、そのサウンドのレベルにかかわらずダッキング対象のバスを事前に定めた量だけ下げるオートダッキングと比べ、より細かく制御できます。詳細については「Using side-chaining」と「Meter」をご覧ください。 |
バスをダッキングするには:
Property Editorにバスを1つロードする。これが現在のバスです。これによって他のバスのボリュームを減少、つまりダッキングさせます。ダッキングはAuxiliary Busでは使用できません。
Auto-duckingタブのInsertをクリックします。
Project Explorer - Browserが開くので、現在のバスが信号を受信した時にダッキングさせるバスを選択します。バスは、自分自身や直接の親をダッキングできません。
OKをクリックすると選択したバスがペインに追加されます。
バスのプロパティを設定します:
Volume: 現在のバスが信号を受信した時の、ダッキングするバスのボリューム減少量。
Fade Out: 元のボリュームからダッキングしたボリュームまでの、フェードアウトにかかる時間。
Fade In: 元のボリュームに戻るまでの、フェードインにかかる時間。
Curve: フェードアウトやフェードインの仕方を決めるカーブ形状。
ペイン内のすべてのバスのプロパティを一括設定します:
Recovery time: 現在のバスの信号の終了から、ダッキングされた信号のフェードイン開始までの経過時間。
Maximum ducking volume: ペインに表示されたバスのボリュームを現在のバスによって下げられる最大のボリューム減少量。
Xbox One、Xbox Series X、PlayStation 4、PlayStation 5、iOS、Androidの各プラットフォームでは、プレイヤーがゲームミュージックを自分の音楽に置き換えることができます。どのプラットフォームの場合も、ユーザのミュージックがスタートした時点でミュートする全てのバスのMute for Background Musicオプションを有効にしておく必要があります。複数のバスを選択でき、ミュージックバス以外も選択できます。
プラットフォームのバックグラウンドミュージックオプションに、バスをアサインするには:
Property Editorに、Audio Busを1つロードする。
Mute for background musicオプションを選択する。
ユーザがコンソールのミュージックプレイヤを通して自分のミュージックをスタートさせると、このバスはミュートされる。
Mute for background musicを有効にした時の動作はプラットフォームによって多少異なります。また、サウンドエンジン初期化の時点で追加プログラミングが必要となります。
Android: Mute/Unmuteアクションは、ユーザがミュージックプレイヤのアプリケーションからゲームに切り替えた時に限り実行されます。つまり、ユーザのミュージックが独自に終了した場合はUnmuteアクションがありません。
iOS: サウンドエンジンの初期化設定でAudioSessionのMixOtherフラグが設定されている場合は、Mute/Unmuteアクションはユーザがミュージックプレイヤのアプリケーションからゲームに切り替えた時に限り実行されます。つまり、ユーザのミュージックが独自に終了した場合はUnmuteアクションがありません。iOS 8以降でAVAudioSessionCategoryAmbientカテゴリを使用している場合、全てのアプリケーションによるオーディオ中断でゲームミュージックのミュートやアンミュートが実行されます。
Xbox One、Xbox Series X、PlayStation 4、PlayStation 5: ゲーマーが自分のゲームプレイを録画して公開できる、DVR機能を備えたプラットフォームもあります。この場合、ゲームオーディオの一部でありユーザーが置き換えることのできるゲームミュージックの著作権について、法的な問題が発生します。ゲームスタジオ側は音楽をゲームに使う権利を有しているものの、エンドユーザーには、いかなる形式であれ、それを配信する権利がないかもしれません。このため、このプラットフォームでは通常ユーザーのBGMの録音を禁止しています。この問題の解決方法としてCPUの観点で最もコストが低いのは、音楽をゲームの残りの部分と分けてミックスすることです。これは、セカンダリアウトプット機能で行います。
Xbox One、Xbox Series X、PlayStation 4、PlayStation 5は、録音してはいけない音を送るためのバーチャルデバイスを提供しています。このDVR-bypass Audio Device用に別のミックスを設定するには、新しいマスターバスを作成します。次に、作成した新しいバスのAudio Deviceプロパティを変更して、DVR-bypassデバイスにポイントするようにします。これで、音を通常通り新しいバスや子バスにルーティングできます。詳細は 「セカンダリアウトプットを理解する」を参照してください。