バージョン
Wwiseの新しいメジャーバージョンにアップグレードする準備ができたら、前のバージョンで作成したプロジェクトを後のバージョンに問題なく移行できるよう、決められた手順に従います。ゲームをあらゆるリスクから守ることが目的なので、新しいバージョンの変更点を調査し、ゲームコードに必要な修正を選択しながら体系的に実装してください。
アップグレードと移行の手順は以下の条件に左右されます:
ソース管理下のプロジェクト: 主要なポイントでプロジェクトをチェックインする必要があります。
ユーザが複数いる: 複数のユーザがそれぞれのワークステーションでWwiseをアップグレードする前に、ローカルシステムでWwiseのアップグレード、プロジェクトの移行、SDKのアップグレード、ゲームコードの更新を完了する必要があります。
インテグレートしたゲームプロジェクト: 移行の注意点に記載されている通りにゲームコードを修正する必要があります。
1-2名を移行チームに任命し、先にローカルシステムで以下のタスクを実行することを強く推奨します:
移行チームがこれらのタスクを終了してから以下を行います:
また、ソースコントロールで管理しているプロジェクトをアップグレードして移行する時の概要は、下図に示します:
Wwiseの新しいバージョンにアップグレードする前に、アップグレード用にプロジェクトを準備する必要があり、特にWwiseプロジェクトがすでにゲームにインテグレートされている場合は作業が発生します。これから説明する手順を、移行したいプロジェクト毎に繰り返してください。
移行チームは、プロジェクトを最新バージョンに移行するにあたり、プロジェクトを準備するために以下のタスクを実行する必要があります。
全てのプロジェクトをコミットします:
プロジェクトをソースコントロールで管理している場合は、他のチームメンバーに全ての変更をコミットするように依頼します。
あとでマージ問題が起きるのを防ぐためです。
移行する全てのプロジェクトの最新バージョンを入手します:
プロジェクトをソースコントロールで管理している場合は、全てのプロジェクトをローカルでシステムにインポートします。
全てのプロジェクトファイルの読み込みと書き込みが許可されていることを確認します。
ソース管理下のプロジェクトについては、プロジェクトファイル(WPROJ)や各種サブフォルダにあるすべてのWork Unitファイル(WWU)のチェックアウトが必要な場合があります。
移行するプロジェクトを検証します:
現在のWwiseバージョンで、移行する各プロジェクトを開き、保存します。
Project Load Logダイアログにメッセージとフィックスの提案が表示された場合は、フィックス案を実行してから変更を保存して、プロジェクトを閉じます。このようなメッセージがなくなるまで、これを繰り返してください。これは、プロジェクトエラーを全て排除して、アップグレードをシンプルにすることが目的です。
移行するプロジェクトにタグ付けします:
プロジェクトをソースコントロールで管理している場合は、プロジェクトをコミットして、アップグレード直前の最後のバージョンとしてタグ付けまたはラベル付けします。
この時点でプロジェクトをコミットすることで、移行処理前のすべての変更を記録できます。それ以外は、移行に直接関連する変更としてソースコントロール履歴に残ります。
移行によって機能の内容に大幅な変更が出ても、移行後のプロジェクトが必ず今までと非常に似たサウンドとなるように、プロジェクトの移行処理が設計されています。移行による変更点の詳細については、 Wwiseリリースノート の最新版と、そこに記載されたリンク先の 重要な移行の注意 を参照してください。
まずは移行チームがローカルシステムでWwiseプロジェクトを新しいWwiseバージョンに移行することを推奨します。ほかのユーザは、移行チームが移行したプロジェクトをテストしてコミットするまで、プロジェクトに手を加えないでください。
注釈 | |
---|---|
Wwiseバージョン間の変更内容によっては、新しいバージョンへのアップグレード時にプロジェクトを移行する必要がない場合もあります。
|
Wwiseをアップグレードします:
ローカルシステムにあるWwiseをInstalling Wwise and Component Packagesの説明に従いアップグレードします。
プロジェクトを1つ、新バージョンに移行します。
現行のWwiseプロジェクトで、全てのプロジェクトファイルの読み込みと書き込みのステータスがあることを確認します。
プロジェクトをバックアップして、バックアップしたプロジェクトをシステム上またはネットワーク上の別のフォルダに保存します。Wwiseが自動的にプロジェクトをバックアップしますが、自分でもバックアップを作成することが推奨されます。
Wwiseの新しいバージョンを開きます。Project Launcherダイアログが開くので移行するプロジェクトを選択します。
Project Migrationダイアログが開き、プロジェクトを新しいバージョンのWwiseに移行するよう促します。
注釈 | |
---|---|
The Migration dialog is only displayed when significant changes have been made to the project file between versions. プロジェクトの移行が必要なければ、Wwiseは移行処理の次の手順に移ります。 |
Migrateをクリックします。
Wwiseがプロジェクトを移行します。プロジェクトの移行後に、Wwiseは、既存のプロジェクトキャッシュフォルダがWwiseの新バージョンと互換性があるかどうかを確認します。互換性がなければ、Wwiseがプロジェクトキャッシュフォルダを削除します。プロジェクトキャッシュが削除されると以下のメッセージが表示されます。
OK をクリックします。
Wwiseメニューバーで、Views > Utilities > Logsをクリックします。Logsビューが開きます。
LogsビューでProject Loadタブを選択します。Project Loadログに移行関連のメッセージが表示され、 Wwiseの新しいバージョン用にファイルが作成された場合は示されます。
注釈 | |
---|---|
この情報はプロジェクトフォルダ内の |
ソースコントロールで管理している場合は、移行処理中に作成された新規ファイルがあれば、それをソースコントロールシステムに追加します。
Logsビューを閉じます。
SoundBankク生成
移行したプロジェクトのテスト用に、複数のSoundBankを生成します。
Wwiseオーサリングアプリケーションのアップグレードと合わせて、以下のタスクを実行し、Wwise SDKのアップグレードとゲームコードの更新を行ってください。
Wwise SDKをアップグレードします:
お使いのシステムがWwise SDKのプラットフォーム要件を満たしていることを確認します。
状況に応じて、前のバージョンのWwise SDKをアンインストールします。
サンプルC++ プロジェクトで作成された一時ファイルをマニュアルで削除するように習慣づけると良いでしょう。
Wwise SDKの新しいバージョンをインストールします。Install Wwise through the Launcherを参照し、Packages下でSDK (C++)を選択してください。
環境変数WWISESDKが新しいバージョンのインストールフォルダをポイントしていることを確認します。(環境変数の設定については、 Wwise SDKの複数のバージョンを使って作業する を参照してください。)
Wwise SDKの新しいバージョン向けにゲームコードを更新します:
Wwise SDKドキュメントにある移行の注意点を参照し、これから行う修正内容をよく理解しておきます。
ゲームコードを移行するには、C++プロジェクトの既存機能をWwise SDKの旧バージョンから新バージョンにポートする必要があります。このタスクで、異なるモジュールでコードを修正したり、リファクタリングしたりすることもあります。ゲームコードを更新するために以下のモジュールの変更に対応する必要があるかもしれません:
Sound Engine
メモリマネージャ
Stream Manager
Communications Module
注釈 | |
---|---|
新バージョンの新機能の一部がゲームに逆効果とならないように、ゲームに必要となるコンポーネントを最初にアップグレードしておくことを推奨します。ゲームが安定していると確認できたた時点で、必要に応じて新機能をインテグレートすると良いでしょう。 |
必要に応じてコードを修正します。
ヒント | |
---|---|
コードを変更する時に頻繁にC++ プロジェクトをリビルドするように習慣づけると良いでしょう。 |
ゲームをビルドします。
アップグレードと移行を完了するには、移行したゲームをテストする必要があります。すでに職場で採用しているテストのプロトコルと合わせて活用できるテスト手順を用意しました。これらのテストを移行チームがWwiseオーサリングアプリケーションとゲームの両方で実施することを推奨します。
移行したゲームプロジェクトをテストして、コミットします:
ゲーム内で、サウンドやオーディオの動作を検証します。以下の検証などを行うことができます。
基本的なオーディオ再生。
コードを変更したことで影響を受ける動作。
プラットフォーム動作。
Wwiseオーサリングアプリケーションとのコミュニケーション。
移行したWwiseプロジェクトやコードの変更を、ソースコントロールにコミットします。
テストが完了して結果に満足できたら、他のユーザーにWwiseの最新バージョンのアップグレードを指示します。
ローカルシステムでWwiseのアップグレード、プロジェクトの正常な移行、SDKのアップグレード、ゲームコードの変更を行い、テストを完了したら、ほかのユーザにワークステーションでWwiseをアップグレードするよう勧めてください。
このアップグレードは、Wwiseが使われている全てのワークステーションで実施する必要があり、以下が含まれます:
ビルドマシン
サウンドデザイナーのワークステーション
デベロッパーのワークステーション
その他の全てのWwiseユーザーのワークステーション
Wwiseが稼働しているすべてのワークステーションを確実に把握して、すべてをアップグレードできるようにしてください。
全てのワークステーションでWwiseをアップグレードします:
希望すれば、全てのWwiseコンポーネントをアンインストールすることができます。これには以下が含まれます:
Wwiseオーサリングアプリケーション
Wwise SDK
アンインストールの詳細についてはWwiseをアンインストールするをご参照ください。
注釈 | |
---|---|
Wwiseをアンインストールする必要はありません。必要に応じて、1つのワークステーションにWwiseの複数のビルドやバージョンを維持することができます。 |
Wwiseの新しいバージョンをインストールします。これには以下が含まれます:
Wwiseオーサリングアプリケーション
Wwise SDK
Wwise Game Simulator
インストールの詳細についてはInstalling Wwise and Component Packagesをご参照ください。
移行したWwiseプロジェクトにすべてのワークステーションでアクセスします:
Wwiseの新バージョンをインストールした後に、移行後のWwiseプロジェクトを読み込みます。
Wwiseを開きます。
エンドユーザーライセンス契約が表示されます。
本Agreementを読み、同意する場合はAcceptをクリックする。
Project Launcherウィンドウが開きます。
移行したプロジェクトを開きます。
注釈 | |
---|---|
WwiseプロジェクトのWork Unitをローカルで保存してソース管理下に置いていないユーザがいる場合は、メッセージが表示され、プロジェクトをWwiseの新バージョンで開く時に、これらのWork Unitが移行されることを承認するように促します。 |
プロジェクトをロードする前に、Wwiseは、既存のプロジェクトキャッシュフォルダがWwiseの新バージョンと互換性があるかどうかを確認します。互換性がなければ、Wwiseがプロジェクトキャッシュフォルダを削除します。プロジェクトキャッシュフォルダが削除されると、以下のメッセージボックスが表示されます。
OK をクリックします。
キャッシュを削除すると、プロジェクトがWwiseにロードされます。