Wwiseでオブジェクトの減衰をシミュレーションするために、VolumeやLow-Pass FilterなどのWwiseのプロパティと、ゲーム中のソースからリスナーまでの距離などさまざまなドライバの間の関係を定義する一連のカーブ(曲線)を作成できます。
Attenuation(減衰)カーブは以下のドライバ用に作成できます:
Distance - エミッタとリスナーの間の距離。値の範囲は0からMax distance(最大距離)値までで、Max distance値はオブジェクトの最大距離減衰が発生する点を定義する値です。サウンドは全方向性ソースから発散されるので、Max distance値はソースの周りの球の半径です。
Obstruction - エミッタゲームオブジェクトとそのリスナーの間のオブストラクションの割合。0から100までの値が可能です。
Occlusion - エミッタゲームオブジェクトとそのリスナーの間のオクルージョンの割合。0から100までの値が可能です。
Diffraction - エミッタとリスナーの間のディフラクション(回折)の経路におけるディフラクションの割合。この値はSpatial Audioにより設定され、0から100までの値が可能です。
Transmission - エミッタとリスナーの間のトランスミッション(透過)の経路における透過損失の割合。この値はSpatial Audioにより設定され、0から100までの値が可能です。
デフォルトではオブジェクトの信号の減衰に、ソースから最大距離までの線形補間を使用したDistance Volumeカーブが適用されます。オブストラクションやディフラクションのカーブにはプロジェクトのオブストラクションカーブを使い、オクルージョンやトランスミッションのカーブにはプロジェクトのオクルージョンカーブを使います。
多くの場合はこれで充分ですが、より高度なカーブが必要となるオブジェクトもあります。減衰カーブにコントロールポイントを追加すると、コントロール範囲が広がります。コントロールポイントで減衰カーブを分けて、オブジェクトの減衰をより細かく設定できます。
カーブをさらに細かく複雑に設定するには、カーブセグメントの形状を調整します。カーブセグメントとは、カーブ上の任意の2点のコントロールポイントの間の部分を指します。カーブ形状として、直線、定数、対数関数、指数関数、S型カーブなど、様々な選択肢があります。カーブ形状の指定などグラフ上での作業に仕方についてはグラフビューについてを参照してください。
Wwiseで設定する以下のプロパティに関して、減衰カーブを設定できます。
Volume - オーディオ出力バスに送られる信号の減衰または振幅。
Auxiliary Send Volumes: Game-defined、またはUser-defined Auxiliary Busに送られる信号の、減衰または振幅。このプロパティを駆動させるのは距離だけです。
Low-pass filter: 指定値に基づいて高周波を減衰させる、リカーシブ(再帰)フィルタ。ローパスフィルタの単位は、適用するローパスフィルタ率を表し、「0」はローパスフィルタなし(信号に影響なし)を表し、「100」は最大減衰を表す。
High-pass filter: 指定値に基づいて低周波を減衰させる、リカーシブ(再帰)フィルタ。ハイパスフィルタの単位は、適用するハイパスフィルタ率を表し、「0」はハイパスフィルタなし(信号に影響なし)を表し、「100」は最大減衰を表す。
Spread: オーディオやモーションが隣のスピーカーやモーターに広がる量または割合を指定する機能で、サウンドやモーションが距離に合わせて、スプレッド値が低い時は点音源、高い値では完全に拡散した伝搬へと変わる。スプレッド値が「0」の時は、スピーカーの隣に位置するエミットソースのチャンネルが、そのスピーカーだけで再生されることを示す。一方「100」の時は、そのエミットソースのチャンネルが拡散され、全てのスピーカーから聞こえる(または感じられる)。このプロパティを駆動させるのは距離だけです。
Focus: Spread値によって生じた複数のバーチャルエミッタを集約するために使う値(%)。そFocusが0%のときは、バーチャルエミッタに変更はないが、数値が高くなると、それぞれのバーチャルポイントがソースチャンネル元の周りに近づいていく。このプロパティを駆動させるのは距離だけです。
なお、減衰プロパティ値は相対値であるため、減衰値は、そのオブジェクトの既存プロパティ値に追加されます。
減衰カーブを設定するには:
Property Editorにオブジェクトをロードして、Positioningタブに切り替える。
Attenuationグループボックスで、セレクタをクリックし、Attenuation ShareSetを選択するか、作成する。
注釈 | |
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Attenuationグループボックスを起動するには、Listener Relative Routingを有効にする必要があります。 |
Edit...をクリックする。
Attenuation Editorが開き、選択した減衰インスタンスのプロパティ設定が表示される。
テキストボックスMax distanceで、サウンドが最大減衰に到達する、ソースポイントからの距離を指定する。
注釈 | |
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Max distance(最大距離値)に達した後は、減衰設定は一定となります。 |
Curvesグループボックスでリストから Distance Volume カーブを選択します。
デフォルトのDistance Volumeカーブがグラフビューに表示されます。
注釈 | |
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カーブの最初のポイントは常にポイントソースを表し、カーブの最後のポイントは常にMax distance(最大距離値)を表します。 |
Distance Volume Attenuationカーブを操作するために以下のいずれかを行います:
カーブ上にポイントを追加する。
ポイントを別の場所にドラッグするか、XY座標のボックスに具体的な数値を入力する。
各カーブセグメントの形状を決める。
注釈 | |
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グラフビューのズームとパン、複数のカーブの一斉表示、グラフ上のポイントの追加・移動・削除、カーブの形状、カーブのセグメント形状の変更などの具体的な情報についてはグラフビューについてを参照してください。 |
残りのカーブに関して、Curveリストで、以下のオプションを1つ選択する。
Noneは、該当プロパティに減衰カーブを適用させない。Noneを選択すると、該当するプロパティが減衰せず、全開の強度で維持される。
Use Distance Volume は該当プロパティのDistance Volumeカーブと同じカーブを使います。なお、このオプションを選択できるのは、Auxiliary send volumes カーブだけである。
Use Project Obstruction は該当プロパティのプロジェクトObstructionカーブと同じカーブを使います。このオプションを選択できるカーブはObstructionとDiffractionだけです。
Use Project Occlusion は該当プロパティのプロジェクトOcclusionカーブと同じカーブを使います。このオプションを選択できるカーブはOcclusionとTransmissionだけです。
Custom は該当ドライバのペアのプロパティにカスタムAttenuationカーブを作成します。