サウンドエンジンは、サウンドデザイナーがダイナミックなオーディオやモーションの作成に活用できるような、標準的な値のセットを、ゲームからのインプットに基づいて計算します。この「ビルトイン」パラメータは、Game Parameter Property EditorにあるBind to Built-In Parameterリストを使ってアクセスします。ビルトインパラメータ値は、ゲームから受け取ったゲームオブジェクトのポジショニングデータに基づき、フレームごとにアップデートされます。Wwise Authoringでは、ゲームにリモート接続している場合にのみ、ビルトインパラメータ値がアップデートされます。
標準的なGame Parameterと異なり、ビルトインパラメータに結び付いたGame Parameterを使用する場合、ゲームプログラミングは必要ありません。
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利用できるビルトインパラメーター:
Distance (距離)
ゲームオブジェクトとリスナー間の距離。ゲームオブジェクトに複数のリスナーや複数のポジションが関連付けられている場合には、全てのリスナーおよびサウンドポジションの組み合わせの間で最短距離の値を取ります。
Azimuth(方位)
水平面におけるリスナーとゲームオブジェクトの間の角度を度で示します。0°の値は、そのサウンドがリスナー直接正面にあることを示し、-90°はサウンドが左側、90 °は右側、そして +/- 180°はサウンドがリスナーの直接後ろにあることを示します。
ゲームオブジェクトが複数のリスナーやサウンドポジションに割り当てられている場合、リスナーとサウンドポジションを最も近くに寄せる角度が取られます。
Elevation(高度)
リスナーとゲームオブジェクト間の、水平方向に対して垂直の角度を度で示します。0°の値は、そのサウンドがリスナーと同じ水平面にあることを示し、90°はサウンドが直接上、-90 °は直接下にあることを示します。
ゲームオブジェクトが複数のリスナーやサウンドポジションに割り当てられている場合、リスナーとサウンドポジションを最も近くに寄せる角度が取られます。
Emitter Cone
Emitter Coneは、エミッターのorientation(向き)ベクトルと、エミッター・リスナー間の直線で形成されたベクトルの間の、3D角度を表します。値が0度の時はエミッターの正面にリスナーがあり、 値が180度の時はエミッターがリスナーと反対の方向を向いていることを示します。
ゲームオブジェクトが複数のリスナーやサウンドポジションに割り当てられている場合、リスナーとサウンドポジションを最も近くに寄せる角度が取られます。
Obstruction
Obstruction は、 SetObjectObstructionAndOcclusion APIを経由してゲームオブジェクトに設定された値へのアクセスを提供します。
ゲームオブジェクトに複数のリスナーが割り当てられている場合、Obstruction値は現在のサウンドポジションに一番近いリスナーに割り当てられた値を取ります。
Occlusion
Occlusion は、SetObjectObstructionAndOcclusion APIを経由してゲームオブジェクトに設定された値へのアクセスを提供します。
ゲームオブジェクトに複数のリスナーが割り当てられている場合、このOcclusion値は現在のサウンドポジションに一番近いリスナーに割り当てられた値を取ります。
Listener Cone
Listener Cone は、リスナーの向きベクトル間の3Dの角度であり、リスナーとリスナー間の直線で形成されたベクトルです。0度の値はそのエミッターがエミッターの方向に直接向いており、 値が180度はそのリスナーがリスナーの方向の反対向きになっていることを示します。
ゲームオブジェクトが複数のリスナーやサウンドポジションに割り当てられている場合、リスナーとサウンドポジションを最も近くに寄せる角度が取られます。
Diffraction
ルームやポータルや、ジオメトリなどで、音の伝播を適用する時に、DiffractionはWwise Spatial Audioが計算した回折角にアクセスできるようにします。
このビルトインパラメータを受信するには、Property EditorのPositioningタブの、 Diffraction and Transmissionチェックボックスを選択する必要があり、エミッターとリスナーは、1つ以上のPortalでつながった別々のRoomにあるか、Wwise Spatial Audioへ送られたジオメトリで遮られている必要があります。
ルームとポータルの時は、エミッターゲームオブジェクトは、「ドライ」回折に関する値として、エミッターとリスナーを結ぶ直線パスからずれた角度を示す発散角を、受信します。Spatial Audio内に登録されたルームゲームオブジェクトも回折値を受信しますが、これはウェット回折に関連する、ルーム内にある音の拡散音場の回折です。ウェット回折は、ポータル開口部の垂直線からの発散角度です。
複数のPortalがある場合や、リスナーに到達するまでにサウンドが通るパス(経路)が複数ある場合は、これらのパスのうち、最も小さい回折角を採用します。Diffraction値の範囲は0から100までで、これは角度でなく回折率(%)を表しています。
Transmission Loss
ルームやポータルや、ジオメトリなどで、音の伝播を適用する時に、Transmission LossはWwise Spatial Audioが計算した透過損失にアクセスできるようにします。
このビルトインパラメータを受信するには、Property EditorのPositioningタブの、 Diffraction and Transmissionチェックボックスを選択する必要があり、エミッターとリスナーは、1つ以上のPortal(有効・無効にかかわらず)でつながった別々のRoomにあるか、Wwise Spatial Audioへ送られたジオメトリで遮られている必要があります。
エミッターとリスナーを直接つなぐレイ(ray)に関して、Transmission Lossを計算します。ジオメトリのTransmission Lossは、ジオメトリに対し定義し(AkAcousticSurface::transmissionLoss)、一方、ルームのTransmission Lossは、Roomに対し定義します(AkRoomParams::TransmissionLoss)。範囲は0から100までです。
最も高い値を、エミッターとリスナーのそれぞれのルームや、交差する全てのジオメトリの面で、使います。
注釈 | |
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Transmission Lossを、ダイレクトパスに対応するレイから取得しますが、Wwiseでは、レイを独立して信号処理することは、Attenuationカーブを使う場合や、プロジェクト全体のObstructionやOcclusionを使う場合を除き、許可していません。例えば伝播パスと並行する回折パスがあり、ビルトイン(組み込み)のTransmission Loss RTPCを使って、このサウンドやEffectのプロパティを制御したいとすると、そのプロパティは、透過パスや回折パスを合算した結果である信号に対して適用され、これは求めるエフェクトとは違うと考えられます。これを考慮する必要があります。このためTransmission Lossによるボリュームやフィルタの処理には、Attenuation Curveに頼る方が得策です。 |