Wwiseのオブジェクトを減衰させるには、Wwiseで設定するボリュームやローパスフィルタなど特定のプロパティと、ゲーム中のリスナーからポイントソースまでの距離に基づく関係を定義する、いくつかのカーブを作成します。
どのカーブにもMax distance値が設定され、これでオブジェクトの最大減衰が起きるポイントが定義されます。サウンドは全方向性ソースから発散されるので、Max distance値はソースの周りの球の半径です。
デフォルトで、オブジェクトのソースから最大距離まで、線形補間を使って減衰が適用されます。
多くの場合はこれで充分ですが、より高度なカーブが必要となるオブジェクトもあります。減衰カーブにコントロールポイントを追加すると、コントロール範囲が広がります。コントロールポイントで減衰カーブを分けて、オブジェクトの減衰をより細かく設定できます。
カーブをさらに細かく複雑に設定するには、カーブセグメントの形状を調整します。カーブセグメントとは、カーブ上の任意の2点のコントロールポイントの間の部分を指します。カーブ形状として、直線、定数、対数関数、指数関数、S型カーブなど、様々な選択肢があります。カーブ形状の指定などグラフ上での作業に仕方については43章グラフビューについてを参照してください。
Wwiseで設定する以下のプロパティに関して、減衰カーブを設定できます。
Output Bus volume: オーディオアウトプットバスにルーティングされる信号の、減衰または振幅。
Auxiliary Send Volumes: Game-defined、またはUser-defined Auxiliary Busに送られる信号の、減衰または振幅。
Low-pass filter: 指定値に基づいて高周波を減衰させる、リカーシブ(再帰)フィルタ。ローパスフィルタの単位は、適用するローパスフィルタ率を表し、「0」はローパスフィルタなし(信号に影響なし)を表し、「100」は最大減衰を表す。
High-pass filter: 指定値に基づいて低周波を減衰させる、リカーシブ(再帰)フィルタ。ハイパスフィルタの単位は、適用するハイパスフィルタ率を表し、「0」はハイパスフィルタなし(信号に影響なし)を表し、「100」は最大減衰を表す。
Spread: オーディオやモーションが隣のスピーカーやモーターに広がる量または割合を指定する機能で、サウンドやモーションが距離に合わせて、スプレッド値が低い時は点音源、高い値では完全に拡散した伝搬へと変わる。スプレッド値が「0」の時は、スピーカーの隣に位置するエミットソースのチャンネルが、そのスピーカーだけで再生されることを示す。一方「100」の時は、そのエミットソースのチャンネルが拡散され、全てのスピーカーから聞こえる(または感じられる)。
Focus: Spread値によって生じた複数のバーチャルエミッタを集約するために使う値(%)。そFocusが0%のときは、バーチャルエミッタに変更はないが、数値が高くなると、それぞれのバーチャルポイントがソースチャンネル元の周りに近づいていく。
なお、減衰プロパティ値は相対値であるため、減衰値は、そのオブジェクトの既存プロパティ値に追加されます。
減衰カーブを設定するには:
Property Editorにオブジェクトをロードして、Positioningタブに切り替える。
Attenuationグループボックスで、セレクタをクリックし、Attenuation ShareSetを選択するか、作成する。
注釈 | |
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Attenuationグループボックスを起動するには、Listener Relative Routingを有効にする必要があります。 |
Edit...をクリックする。
Attenuation Editorが開き、選択した減衰インスタンスのプロパティ設定が表示される。
テキストボックスMax distanceで、サウンドが最大減衰に到達する、ソースポイントからの距離を指定する。
注釈 | |
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Max distance(最大距離値)に達した後は、減衰設定は一定となります。 |
グループボックスCurvesで、リストからOutput Bus Volumeのカーブを選択する。
Output Bus Volumeのデフォルトカーブが、グラフビューに表示される。
注釈 | |
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カーブの最初のポイントは常にポイントソースを表し、カーブの最後のポイントは常にMax distance(最大距離値)を表します。 |
Output Bus Volumeの減衰カーブを操作するには、以下のいずれかを行う:
カーブ上にポイントを追加する。
ポイントを別の場所にドラッグするか、XY座標のボックスに具体的な数値を入力する。
各カーブセグメントの形状を決める。
注釈 | |
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グラフビューのズームとパン、複数のカーブの一斉表示、グラフ上のポイントの追加・移動・削除、カーブの形状、カーブのセグメント形状の変更などの具体的な情報については43章グラフビューについてを参照してください。 |
残りのカーブに関して、Curveリストで、以下のオプションを1つ選択する。
Noneは、該当プロパティに減衰カーブを適用させない。Noneを選択すると、該当するプロパティが減衰せず、全開の強度で維持される。
Use Output Bus Volumeは、該当プロパティに、同じOutput Bus Volume カーブを適用させる。なお、このオプションを選択できるのは、Auxiliary send volumes カーブだけである。
Customは、該当プロパティのために、カスタマイズした減衰カーブを作成する。