Vorbisオーディオファイル特有のプロパティは、Vorbis Encoder Parametersダイアログボックスで設定します。Vorbisエンコーダは、ビットレートを変更しながら、指定した一定の品質を保つ、知覚的なオーディオコーデックです。デフォルトのモードをそのまま適用した方が、使用ビット数において、最も安定した品質を得られる確率が高くなります。
注記 | |
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AudiokineticがサポートするVorbisフォーマットは、インタラクティブメディアやゲームプラットフォーム向けに最適化されたものです。標準のOgg/Vorbisファイルフォーマットに準拠していません。メディアプレイヤで、または他のOgg/Vorbis標準ツールで、これらのストリームを正しく読み込めるとは限りません。 |
ビットレートを細かく管理する必要がある状況では、ビットレートを設定できます。この機能では、ビットレートリザーバー(bitrate reservoir)を使いビットを蓄えておき、平均レートを使った定値制御によって、指定したビットレート範囲内にビットレートを維持します。多くのケースでこれは品質低減につながってしまいます。この機能は、ビットレートを細かく管理することが不可欠な、特殊な状況に限り使用してください。
さらに、Vorbisエンコーダを使って、 Play from elapsed timeバーチャルボイス機能を利用するには、シークテーブルを有効にする必要があります。
注記 | |
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リモート接続の場合、Source Editor の Play Cursor は、Vorbisでエンコードされたソースがシークテーブルで変換されている場合にのみ動作します。 |
ディスクスペースを節約するために、シークテーブルはデフォルトでオフになっています。なお、バーチャルボイス機能のどちらかを選択する場合は、シークテーブルがオフではバーチャルボイス機能が使われた時にサウンドが再生されないので、必ずオンにしてください。
Vorbisコーデックの全体的な内容については、http://vorbis.com/faqを参照してください。
Vorbisコーデックの技術的な内容については、http://xiph.org/vorbis/doc/Vorbis_I_spec.htmlを参照してください。
項目 |
内容 |
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Quality Factor |
圧縮ファイルの品質設定を10進浮動小数点値で示したもので、-2は超低品質の設定であり低ビットレートが品質の一貫性よりもはるかに重要であることを意味し、0.0は常に一貫した結果を出すことを意味する。 品質を高く設定すると、以下となる。
Vorbisの可変レート(variable rate)コーデックによって、設定したエンコーディングの品質を維持しながら、ビットレートが変化する。圧縮率が高いと、品質が劣る場合がある。品質を高め圧縮率を下げるには、範囲の上限に近い数値を設定すること。 デフォルト値: +4 品質設定0未満でエンコーディングしたステレオファイル1つにつき、Vorbisデコーダのロワーエンジンメモリ使用は、約24KBである。 |
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Managed Bitrate |
チャンネルごとに、ビットレートの平均、最大値、最小値を管理する機能。 Vorbisコーデックはネイティブ可変ビットレートのコーデックだが、ストリームのビットレートをある程度管理する方式として、使用の最少・最大制限を設定できるほか、ストリームを望ましい平均値に誘導する機能も備えている。これらの機能は、ファイルストリーミング用に一定の帯域幅制限を確保したい場合など、ビットレートを制限する何らかの要件がある場合にのみ、使用すべきである。わずかな差であることが多いが、ビットレートを管理するモードでは、可変ビットレートエンコードよりも必ず出力品質が落ちてしまう(同じビットレート使用であれば)。
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Average bitrate (kbps per channel) |
エンコーダ内のビットレートをトラッキングする基準値として、ビットレートリザーバー(bitrate reservoir)が使用する平均ビットレートの数値。 デフォルト値: 64 |
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Min bitrate (kbps per channel) |
エンコードしたチャンネルごとの最低ビットレート。 デフォルト値: 64 Vorbisコーデックでは、エンコードするファイルのサンプルレートによって、対応できる有効ビットレート設定が制限されます。有効範囲の詳細については、「有効なVorbisビットレート設定」を参照。 |
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Max bitrate (kbps per channel) |
エンコードしたチャンネルごとの最大ビットレート。 デフォルト値: 64 Vorbisコーデックでは、エンコードするファイルのサンプルレートによって、対応できる有効ビットレート設定が制限されます。有効範囲の詳細については、「有効なVorbisビットレート設定」を参照。 |
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Advanced Settings |
リザーバーの設定管理。 本機能の使用は、エンコーディング経験のあるユーザに限り許可すべき。 |
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Bit reservoir time |
ビットトラッキングリザーバーで使うビットレートの最小値と最大値。リザーバーは、フレームサイズを管理してここで設定された範囲内でビットを蓄えることで、ビットレートの局地的な上昇や下落をならす。 デフォルト値: 0 |
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Reservoir bias factor |
リザーバーのビットバンキング管理の設定: 設定値を高くすると、ビットレートが減少した際に使用できるリザーバー内のビット数が増える。設定値を低くすると、ビットレートの変化に対応するためのビット数が少なくなる。 デフォルト値: 0.1 |
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Average track slew time |
設定した最小・最大ビットレート時間に、リザーバートラッカーが反応するまでにかかる移行時間。 デフォルト値: 1.5 |
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Seek table granularity (sample frames) |
オーディオファイル内で使われるシーク場所の数、またはキーフレーム数の設定。 通常シークテーブルは、Play from elapsed timeに設定したバーチャルボイスサウンドに使う。 設定値が低いほど、サウンドの正確な経過時間(elapsed time)に近いサウンドとなる。 デフォルト: 16,384 |
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Vorbis Encoder Parametersダイアログボックスが閉じ、設定は保存される。 |
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Vorbis Encoder Parametersダイアログボックスが閉じ、設定は保存されない。 |
ビットレート管理は、ビットリザーバーアルゴリズムを使って行われます。エンコーダに固定サイズのリザーバーがあり、エンコーディングで「貯金」として使われます。ターゲットレートよりも小さいフレームがあれば、未使用ビットをリザーバーに入れて将来のフレームに使います。ターゲットビットレートよりも大きいフレームの場合は、リザーバーの「貯金」したビットから引き出します。エンコーディングを管理して、リザーバーがマイナスにならないようにする(最大ビットレート指定の場合)か、既定リミットより先を埋め合わせる(最小ビットレート指定の場合)ようにします。「平均ビットレート」リクエストを長期ビットレートトラッカーの基準ポイントとして使い、リクエストされた平均ポイントよりも入ってくるフレームが大きいか小さいかによって、エンコーダの積極性を増減させます。
Vorbisコーデックでは、エンコードするファイルのサンプルレートによって、対応できる有効ビットレート設定が制限されます。指定されたビットレート(平均・最少・最大)がファイルのエンコードできる有効範囲外であれば、値を有効範囲内の最も近い値にクランプして、エンコーディングに使った実際のビットレートを、コンバージョンダイアログで警告として表示します。サンプルレート毎の有効ビットレートを判断するには、下表を参照してください。
Sample (Hz) |
Mono Min (kbps) |
Mono Max (kbps) |
Stereo Min (kbps / channel) |
Stereo Max (kbps / channel) |
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8,000 |
8 |
42 |
5 |
32 |
10,000 |
14 |
50 |
8 |
44 |
12,000 |
14 |
50 |
8 |
44 |
14,000 |
14 |
50 |
8 |
44 |
16,000 |
16 |
100 |
10 |
86 |
18,000 |
16 |
100 |
10 |
86 |
20,000 |
22 |
90 |
14 |
86 |
22,050 |
22 |
90 |
14 |
86 |
24,000 |
22 |
90 |
14 |
86 |
28,000 |
24 |
190 |
14 |
190 |
32,000 |
24 |
190 |
14 |
190 |
36,000 |
24 |
190 |
14 |
190 |
44,100 |
26 |
240 |
16 |
250 |
48,000 |
26 |
240 |
16 |
250 |