バージョン
ゲームでのダイアログのポジションについて理解するために、ここでいくつかの例を検討します。映画やテレビなどストーリーがリニアのメディアは、ゲームの画面上でダイアログを提供する時の参考になりますが、ダイナミックに変化するやり取りを実行するには、検討すべき範囲がさらに広まります。
ゲーム中に、プレイヤーがコントロールできない場面で発生する映画的な会話は、一般的にフロントスピーカーに固定されているので、このような場面のダイアログポジションは2Dに設定することにより、その配置を適切に管理できます。伝搬設定がないサウンドオブジェクトの2Dオブジェクトは、デフォルトで左右のフロントスピーカーだけで再生されます。センターチャンネルを何パーセントか追加すると、コントロール範囲が広がります。
ゲームプレイのダイアログが再生されている最中にプレイヤーが存在し、ワールドの中を自由に動けるような状況では、ダイアログの再生ポジションを3Dとする必要があるかもしれません。台詞を言うキャラクターの位置にあるゲームオブジェクトのSound Voiceに減衰設定を登録するだけで、事前に定義された減衰設定に基きボリュームが既定通りに減少します。これは、ゲームのワールドに配置されたキャラクターが発言している最中に、プレイヤーが自由に動けるような場面で使える方法です。
ゲームの中でポジションが決まっているダイアログをリアルにする方法は、ボリューム減衰に限定されません。アンビエント音の説明でキャンプファイヤーの例をみましたが、一般的にボイスが接近しているとき、隣接するスピーカー間でスプレッドを追加するとリアル感が増します。さらにこだわって減衰コーンも設定すれば、ゲームオブジェクトの向きによってサウンドに方向性をもたせることができ、例えば、話しているキャラクターの口の向きによって聞こえ方を変えられます。減衰コーンを使えば、方向性をもつゲームオブジェクトの外や後ろにリスナーが移動するにつれ、サウンドが減衰しフィルターが適用されます。つまり、キャラクターの台詞がキャラクターの頭によって妨害される様子をシミュレーションできます。
Programmer Note | |
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OrientationFront(前方向)ベクターで定義するのが、リスナーの顔の向きです。これは、リスナーの頭の傾斜を定義するOrientationTop(上部方向)ベクターに対して直角にあるべきです。リスナーが人間であれば、OrientationFrontベクターがリスナーの鼻の向き(顔から外に向かっている)となり、OrientationTopベクターはそれに対して直角関係にあり、リスナーの目の間を通って顎とは逆方向を向きます。 |
よりリアルなダイアログのシミュレーションを提供する上級テクニックを導入することも検証の価値はありますが、再生するダイアログがゲームにどれだけ重要かで、こだわる度合いを簡単に判断できます。例えば、ドラゴンを従わせる秘密の技をプレイヤーが聞きとるのが重要であれば、ダイアログをリアルにしようとフィルターやボリューム減衰を使って聞こえづらくするのは良くありません。ゲーム中の会話は全て、リアル感の追及とストーリーの伝達とのバランスが大切であり、ゲームプレイと結びついた時にプレイヤーが会話によって没入感を味わうことが理想的です。