バージョン
マジックブラストが初めて戦場の隅々まで響き渡ると、山のはるか上の方から、スレッショルドがHDRシステムを作動させます。マジックブラストのボリュームは、プロジェクトの最大サウンドとしてオーサリングされているので、ウィンドウ上端を素早く引き上げ、足音サウンドが、ミックスから外されます。戦場のどこにいようと、マジックブラストの振動が危険を知らせ、周囲の自然、足音、倒れた戦士達など全てのサウンドは遠ざかり、絶大なサウンドに注目せざるをえません。
ウィンドウ上端がマジックブラストのエンベロープの位置を追いかける間、剣戟の冷たい金属音が、疲れ切った戦士達の間で次々と広がります。剣戟のインパクトサウンドはマジックブラストの相対ボリュームよりも下にオーサリングされたもので、鋭い攻撃のように鳴り響き、ウィンドウ上端を引き続きピークさせます。スレッショルドより下にあるサウンドの減衰の様子は、レシオで設定したプロパティ値の影響を直接受けます。このため、次の攻撃に近づき戦いの騒ぎが大きくなれば、アンビエントはミックスから外れたままとなります。
エンベロープトラッキング(Envelope Tracking)を有効にすると、Wwiseがオフラインで自動的に解析した計算結果を使い、波形のエンベロープに合わせてウィンドウ上端を調節します。これは、ウィンドウ上端をボリュームスレッショルドより上に動かすような大きいサウンドで使うと、非常に便利です。波形エンベロープをトラッキングする処理は、デフォルトエンベロープの動きと比べて多少のメモリコストがあるので、大きいサウンドや、ボリューム変動のある、長いエンベロープのサウンドに使用することが推奨されます。
アクティブレンジ(Active Range)を設定して、ボイスのピーク値からHDRが作用するエリアまでの範囲を指定します(dB単位)。このROI(Region of Interest、関心領域)は、解析したエンベロープに基づき、現在のエンベロープレベルが「ピークレベル」から「アクティブレベル」を引いた位置よりも上であれば、アクティブレンジとされます。アクティブレンジ外の場合は、HDRがサウンドの内容を無視するので、HDRバスのリリースタイムが適用されます。