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HDRオーディオの、ダイナミックプロパティの設定

ダイナミックプロパティを設定することで、HDRオーディオバスにルーティングされるサウンドが互いに作用し合った時のHDRシステムの反応を規定します。様々なボリュームのサウンドがHDRオーディオバスを経由すると、これらのサウンドの振幅が、スレッショルド、レーシオ、リリースタイムなどのなじみあるプロパティに基づき、グローバル(全体)ボリュームをダイナミックに調整します。

Wwise Project Adventureを使ってHDRシステムを試してみるには、ミックスバス“World_Sound”でHDRを有効にして、プロパティThresholdを-15dBに設定し、他のDynamics設定はデフォルト値のまま残します。

HDRを有効にしたバスの、Dynamics設定

[注記] Threshold(スレッショルド)

スレッショルドを設定して、HDRウィンドウの上端が反応するための、最低インプットレベル(単位:dB)を指定します。

[注記] Ratio(レシオ、比率)

このコントロール機能は、オーディオコンプレッサーのレシオコントロールと似た動作をします。HDRウィンドウの上端は、レシオに従ってスレッショルドを超過したピーク部分を減衰させ、同時に、小さいサウンドのボリュームを下げる役割を担います。例えば、2つのサウンドがあり、1つのピーク値がスレッショルドより20dB上に、もう1つがスレッショルドより40dB上にある場合は、同時に再生されない限り、両者とも0dBFSという同じレベルで出てきます。この2つのサウンドの違いは、スレッショルドより低いサウンドが、前者では20dB減衰するのに対して、後者は40dB減衰するという点です。

より低いレシオ、例えば4では、+20dBでピークするサウンドは+5dBで出て、+40dBでピークするサウンドは+10dBで出てきます。その結果、スレッショルドよりも下のサウンドの減衰が、前者は-15dB、後者は-30dBとなります。スレッショルドよりも上にあるサウンドの場合、HDRシステムによって全体的なダイナミックレンジが失われてしまうことがあり、これを回復するのに低いレシオは便利です。欠点は、スレッショルドより上でピークに達するサウンドもあることで、クリッピングを回避するには、HDRバスの後で充分なヘッドルームを確保する必要があります。これは、HDRバスのボリュームを0dBより低い値(例えば、-10dB)に設定することで対応できます。

[注記] Release Time

リリースタイムを設定して、ターゲット値が現在の値よりも低い時、HDRウィンドウが下がって安定するまでの速度を指定します。Linear Mode(線形モード)では、約10dB下がるまでにかかる時間を、秒単位で指定します。Exponential Mode(指数モード)では、ターゲットと現在値の差の、約0.37(1/e)の位置に達するまでにかかる時間を、秒単位で指定します。どちらのモードを選択するかは、ソース素材やゲームの種類を考慮して聞こえの良い方に決めます。


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