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Positioningに関する、コツとベストプラクティス

Wwiseでオブジェクトのポジショニングを設定する前に、以下のセクションに目を通して、ゲームの各種オブジェクトのポジショニングを効率的に管理するための事例、コツ、ベストプラクティスなどを参照してください。

ポジショニングの活用例(Part 2)

Wwiseで設定できる様々なポジショニングオプションが理解できたところで、前述のファーストパーソン「ポジショニングの活用例(Part 1)」のサウンドとモーションエフェクトのポジショニングを設定するために、各オプションの使い方を検討します。

  • 足音 - ファーストパーソンゲームでは、メインキャラクターの足音サウンドを常にカメラに添付します。このサウンドは動きや減衰がないので、基本的な2Dポジショニングが適しています。しかし、他の隊員達の足音サウンドは隊員の動きに合わせるために、サウンドを隊員のゲームオブジェクトに添付する必要があります。 この場合、空間配置(spatialization)付き3DGame-definedポジショニングが適していますが、減衰は不要です。

  • 敵のジャングル基地で灯される、数々のトーチ - これらのサウンドは、トーチのゲームオブジェクトに添付します。トーチは固定ですが、サウンドエミッタの場所やマイクからの距離がプレイヤーの位置によって変化します。 このようなサウンドのシミュレーションには、空間配置付き3D Game-definedポジショニングと、空間配置と減衰の両方を使います。

  • 小屋で話し合うテロリスト - これらのサウンドは、ゲーム環境を自由に動き回るテロリストのゲームオブジェクトに添付します。 このようなサウンドのシミュレーションには、空間配置付き3D Game-definedポジショニングと、空間配置と減衰の両方を使います。

  • 頭上を飛ぶ蚊 - この例では、蚊が飛ぶ音が聞こえるものの、見えてきません。サウンドエミッタが3D空間を動く必要があり、実際のゲームオブジェクトは存在しない状況では、3D User-defined positioningが適しています。ランダムに再生される複数のサウンドパスに、空間配置と減衰の両方を適用することで、非常にリアルな虫のサウンドを表現できます。

  • 本部からの最新情報 - 本部からの無線通信は、特定のゲームオブジェクトに関係なく、サラウンド環境を動き回らないので、2Dポジショニングが適しています。また、通信内容はミッション遂行に不可欠なので、全てのサウンドまたは一部分をセンタースピーカーにルーティングするのも良いでしょう。

  • ミッションに挑む隊員同士の声をひそめたやり - 隊員達の小声は、各隊員のゲームオブジェクトに添付されるので、3D Game-definedポジショニングが適しています。また、隊員同士の位置が相互に変化するため、何らかの空間配置が必要となりますが、全員がチームとして協力し合うので、お互いのコミュニケーションに減衰を設定する必要はありません。なお、隊員同士のコミュニケーションはミッション遂行の要となるため、全てのサウンドまたは一部分を、センタースピーカーにルーティングするのも良いでしょう。

  • ミッション遂行に成功した後、基地を破壊するために仕掛けた爆弾の爆発 - 隊員達は、爆発の音と衝撃を感じ取ることになります。これを表現する爆発のサウンドやMotion FXオブジェクトは、爆弾のゲームオブジェクトに添付します。爆弾の位置は固定されていますが、サウンドおよびモーションエミッタの場所とリスナーからの距離がプレイヤーの位置によって変化します。このようなエフェクトのシミュレーションには、3D Game-definedポジショニングと、空間配置と減衰の両方を使います。

  • 止むことのない、島の火山の地響き - 島にいる限り、火山の地響きエフェクトが常に聞こえ、かつ感じられます。サウンドオブジェクトとモーションオブジェクトの両方を、ゲームオブジェクト"Island(島)"に添付するのが一般的です。ある程度の減衰を設定すれば、プレイヤー達が島に接近するにつれ地響きをより大きく、またはより強くできます。なお、このサウンドとモーションは動かないので、空間配置は必ずしも必要ありません。

  • インタラクティブミュージック - ミュージックは特定のゲームオブジェクトと関連せず、サラウンド環境を動き回る必要もないため、2Dポジショニングが適しています。例えば、フロントスピーカーとリアスピーカーのバランスをとるために、一部のミュージックトラックをパンニングさせます。

下表は、この例の様々なサウンドを作成するために使用できるポジショニングオプションをまとめたものです。

サウンド

2D

3D

 

パンニングなし

パンニング有り

Game-Defined

User-Defined

Spatialization

Attenuation

隊員の足音

         

トーチ

   
 

テロリストの会話

   
 

蚊の羽音

     
   

本部からの無線通信

         

隊員同士のコミュニケーション

   
 
 

爆発

   
 

火山の地響き

   
   

インタラクティブミュージック

 
       

この事例は、Wwiseの様々なオプションを活用して、様々な種類のポジショニングや伝搬を作りあげる1つの方法を紹介するものです。実際には、具体的なエフェクト、作成するゲーム、達成したいスペシャルエフェクトなどの諸条件によって、選択するオプションが決まります。

パフォーマンスの最適化

  • スプレッド減衰カーブを使わない場合は、モノサウンドを使う - スプレッドカーブを使ってオーディオ信号を広げる予定がなければ、パフォーマンス最適化のためにモノサウンドを使用してください。スプレッドを使わないと、ステレオサウンドの全入力チャンネルが同じポジションにマッピングされ、ダイナミックにレンダリングしなければならないのに対し、モノサウンドを使えば、この処理がオフラインで行われ、ゲームプレイ中のCPU負荷となりません。

  • Attenuation Editorのカーブの再利用、カーブ数の削減で、パフォーマンスを改善する - Attenuation Editorでカーブを追加すればするほど、処理能力とメモリに負担がかかります。パフォーマンス向上のために、Outpus Bus Volumeカーブ(AUXセンドボリューム用)を再利用する、またはカーブを全く使わないという方法があります。

  • カーブのポイント(頂点)数を制限して、直線カーブセグメントを使い、パフォーマンスを改善する - カーブにポイントを追加すればするほど、またカーブの形状が複雑になればなるほど、処理能力やメモリに負担がかかります。多くの場合、カーブにポイントを2、3点設定して直線セグメントを使えば、必要な減衰効果を得られます。

  • ShareSetを使い、減衰プロパティの設定をシェアさせる - ゲームの各種オブジェクトの中に、減衰プロパティが似ているものがいくつかあれば、プロパティ設定をShareSetでシェアさせることができます。減衰プロパティ設定をシェアすると、メモリを節約でき、減衰プロパティを変更する時間も短縮できます。

  • Positioning TypeにRTPCを用いて、同じような役目には、サウンドを再利用する。例えば、プレイヤーの足音を2Dに設定して、敵の足音を3Dに設定した上で、同じサウンド階層を使えます。これで、デフォルトプールのメモリを大幅に節約できます。

具体的なポジショニングシナリオの概要

それでは、具体的なシナリオを検討しながら、Wwiseの様々なポジショニング設定や減衰設定の活用方法を説明します。

info 注記

デフォルトとして、2Dサウンドや3Dサウンドはセンタースピーカーから再生されません。信号をセンタースピーカーにルーティングするには、Center %プロパティのスライダを使用します。

Scenario 1

  • Positioning(配置): 3D

  • Attenuation(減衰): None

  • Spatialization(空間配置): Off

結果: この設定の結果、2Dサウンドと同じポジショニングとなります。

Scenario 2

  • Positioning(配置): 3D

  • Attenuation(減衰): 単純な直線型カーブ

  • Spatialization(空間配置): Off

結果: この設定の結果、サウンドソースからリスナーが離れるにつれ次第に静かになるサウンド(減衰)となりますが、サウンドの位置はオリジナルのサウンドアセットで示される位置と全く同じとなり、ポジショニングやローテーション(空間配置)が一切、適用されません。

Scenario 3

  • Positioning(配置): 3D

  • Attenuation(減衰): None

  • Spatialization(空間配置): On

結果: この設定の結果、特定の場所から発信されるサウンドとなりますが(空間配置)、サウンドソースからリスナーがどれだけ離れても、ボリュームは一切減衰しません(減衰)。

Scenario 4

  • Positioning(配置): 3D

  • Attenuation(減衰): 単純な直線型カーブ

  • Spread: 単純な直線型カーブ

  • Spatialization(空間配置): On

  • Sound source: Mono

結果: この設定の結果は、以下となります。

  • リスナーがサウンドソースから遠いと、サウンドが特定の場所から発信され(空間配置)、ボリュームが下げられ(減衰)、主に1つのスピーカーで再生されます(スプレッド)。

  • リスナーがサウンドソースに近いと、サウンドが特定の場所から発信され(空間配置)、ほぼフルボリュームとなり(減衰)、ほぼ均等に両スピーカーに配分されます(スプレッド)。

Scenario 5

  • Positioning(配置): 3D

  • Attenuation(減衰): 単純な直線型カーブ

  • Spread: 単純な直線型カーブ

  • Spatialization(空間配置): On

  • Sound source: Stereo

結果: この設定の結果は、以下となります。

  • リスナーがサウンドソースから遠いと、サウンドが特定の場所から発信され(空間配置)、ボリュームが小さくなります(減衰)。スプレッドなしで空間配置が設定されたステレオソースの場合、両チャンネルがフォールドダウンされ、モノの「ポイントソース」となります。 スプレッドがない時は、CPUに効率的なモノファイルを使った方が良いのは、このためです。

  • スプレッドを使用すると、オリジナルのソースのオフセットとして新しい「バーチャルソース」が設定されます。例えば、スプレッド値が低ければ、計算に基づき、実際のポジションの左右にバーチャルソースに設定し、通常のスプレッドなしのサウンドと全く同じ方法で、わずかに違うポジションから、バーチャルソースの貢献分がスピーカーに追加されます。

    スプレッド値が上昇するにつれ、リスナーの周りにより大きい円弧を描くため、バーチャルソースの数が増えます。当然、バーチャルソースのパワーを実際のソースよりも低くして、パワー合計を一定に保ちます。

    info 注記

    これらのソースはボリューム計算のためだけに使われ、実際に新しいサウンドは再生されていません。

  • リスナーがサウンドソースに近いと、サウンドが特定の場所から発信され(空間配置)、ほぼフルボリュームとなります(減衰)。高いスプレッド値と組み合わせると、サウンドがあらゆる方向からきます。ステレオサウンドの左右のチャンネルは、別々にスプレッドされます。

  • 次に、距離が「0」という特別な状況を考えます。Wwiseの全ての空間配置の計算(及びコーン減衰)は、角度に基づいています。距離が「0」であると、リスナーの向きが前なのか左か右なのか、Wwiseは判断できません。ゲーム中にこのような場面が起きることを避けてください。実際にゲームプレイ中にこの状況が発生してしまうと、Wwiseは単純にステレオサウンドのモノバージョンを作成して、範囲外のボリューム計算を回避します。コーン減衰にも、同じ理論が適用されます。リスナーの向きが不明の場合は、減衰が全く起きていないものとして扱われます。コーンLPFに関しても、同様です。


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