経歴
アレッサンドロ・グッツォと申します。私は1人称視点のホラーゲーム『The Land of Pain』と『The Alien Cube』の開発者です。いまはミステリーや雰囲気に焦点を当てた、未発表の3作目となるゲームに取り組んでいます。全く新しいプロジェクトであり、コミュニティのみなさんに詳細を報告することが待ちきれません。
私のインスピレーションとなっているのはラヴクラフトの文学や、没入できるムードがとても楽しかった2000年代初期のスリラー系ビデオゲームなどです。よいゲームを制作するためにはしっくりくる雰囲気をかもし出すことが非常に重要であると常に感じており、そのために重要な役割を担うのがサウンドトラックです。
私は『The Land of Pain』とその精神を受け継ぐ続編『The Alien Cube』のどちらの開発中にも、この点にかなり力を入れました。アンビエントサウンドと雰囲気的なサウンドトラックのおかげで、さまざまなエリアを探索するプレイヤーはゲームの冒険に深く引き込まれていきます。
自分がゲームデベロッパになるまで
すべてのはじまりは2014年、それまでのキャリアが自分の希望する将来に向かっていないと気づいた時です。当時24歳の私は情報技術を学び卒業した後に就職し、家電量販店の店員、営業職、コールセンターのオペレーター、警備員などさまざまな仕事を経験していました。安定した雇用ではなく自分の希望するキャリア形成に沿わない仕事に、不満を感じていました。
そこで自分で仕事をつくろうと決心したのですが、大したお金を投資する機会もなく不可能のように思えました。ビデオゲームに対する情熱と部屋1室とコンピュータ1台しかない私に、一体何ができるのだろうか?そうだ、ゲームデベロッパになろう!
アイデアとしてはすばらしいですが、ビデオゲームをゼロからつくり貯金が底をつく前に完成させるためには、何事も完璧に管理する必要がありました。すべてにおいて節約をし、必要のないものは買いませんでした。数年間はそうでもしないと家賃も食費も税金も払えない状態でした。
2014年の秋でしたが、その瞬間から独学でCryEngineを学び開発をはじめました。ゲーム開発の知識は全くありませんでしたが、自分でしっかりと作業をすすめることができると気がつきました。学びながら創作し、創作しながら学びました。やがて自分1人で仕事をするためには柔軟性と体制が必要であると理解し、開発全体を管理することのできる柔軟性の高い、革新的かつカスタムメイドの作業方法を考案しました。
数か月が経過した時に自分の方式が快調でゲーム開発能力も向上していると感じ、デモをつくりコミュニティから私の取り組みへのフィードバックをもらいたいと思いました。
『The Land of Pain』デモ版はダウンロード数千回という歓迎を受け、このプロジェクトを完成させる上で励みになりました。2017年9月にゲームをリリースし、ユーザからのフィードバックはとてもよかったです。SteamでTop-Seller2位、Most Popular2位を獲得しました。
『The Land of Pain』
『The Land of Pain』はストーリーと探索と雰囲気にフォーカスを当てたアドベンチャーホラーゲームです。
ラヴクラフト流のホラーアドベンチャーであり、生き残る術を学びながら暗く不穏な悪を退ける必要があります。恐ろしくて広大な世界を探索する中で容赦ない敵から逃がれ、パズルを解き、この地を覆う古代の謎を解明していきます。
1人で『The Land of Pain』を開発することは簡単ではありませんでしたが、自分で何ができるのか、そしてどうすればさらによいゲームをつくることができるのかを知る上でこの経験が役に立ちました。だからこそ直後に『The Alien Cube』の開発をはじめた時に、自分のスキルと限界を自覚していました。
私は『The Land of Pain』と同じ世界に存在して何らかの繋がりがある別のゲームを作成し、最初のゲームに入れることのできなかったさまざまなアイデアを試してみたいと思いました。
『The Alien Cube』
1人称視点コズミックホラーゲーム『The Alien Cube』ではユーザが孤独な男アーサーをプレイしますが、叔父エドガーの失踪を知った後からのアーサーの周りで奇妙な出来事が続き、彼の人生は大きく変わりはじめます。
ストーリー性、探索、そして冒険に焦点を当てたゲームです。プレイヤーはさまざまな環境を歩き回りながらパズルを解いて調査をすすめ、ミステリーの解明を目指します。
雪の積もった森や薄暗いダンジョン内など、多くの場所を探してゆきます。プレイヤーは追っ手を逃れながら手がかりを求めますが、捜索をすすめるうちに恐ろしい秘密が次から次へと明らかになります。
使用したツール
CryEngine
私のゲームではプレイヤーをゲームの世界に引き込むようなリアルなグラフィックを重視しています。これを実現するために私が使用したのは美しい自然の景色や、インテリアの細かい表現を実現するCryEngineです。現実世界の物体をゲームに取り込むためのフォトグラメトリも活用しており、リアルなビジュアルという観点で見事な美しさを表現することができました。
Wwise
ホラーゲームでは音楽と音が非常に重要な役割を果たし、ゲームのエクスペリエンス全体に大きな影響を与えます。Wwiseは見事な成果を達成するために活躍してくれるすばらしいソフトウェアです。
便利な機能がたくさんありますが、その1つは肝心なタイミングにおいて音楽をディゾルブする能力です。予期せぬことが突如発生した時にその瞬間の音楽を完璧に管理できることは、緊迫感を高めるために不可欠です。
私のゲームではさまざまな環境がありますが、それぞれに適したリバーブがあることでゲームへの没入感が増します。例えば洞窟の中を歩いている時は、足音や水滴音が反響して聞こえます。これによりプレイヤーのエクスペリエンスに追加されるリアリズムは絶大です。
また私はよくランダマイザを使い、一定範囲内でランダムに決まる数値に基づいて音を変化させています。例えば足音のように似ていても違う複数の音を再生したい場合に便利であり、ランダマイザが1つの音から異なる複数の音を生成してくれます。
ビデオゲームをつくる上でメモリ管理も重要です。サウンドバンクのおかげでその時に必要なサウンドのみをロードすることができ、オーディオのために使用するメモリを最適化できました。
サウンドがどのように管理されているのかを詳しく分析するために、Advanced Profilerを使いました。サウンドエンジンの内部構造に関する幅広い詳細情報が表示され、発生する問題を見つけることができます。
ほかにも多くの機能があり、Wwiseでゲームの美しいオーディオエクスペリエンスをつくることができました。
新たなプロジェクト
私はいま3作目の制作中です。ゲームを開発しながら同時にそのストーリーを書いています。残念ながらまだ初期段階で詳しい話はできません。自分の力を上達させて新たな方式や技術を学びながら、さらによいゲームをつくりたいと思います。
この数年で多くのことを学びましたが、1人でできることに限界はないと感じます。日々新しいことを学ぶ一方で、さまざまな状況に粘り強く柔軟に対応することが大切です。ビデオゲーム市場は常に変化しており、変化を予測しながら自分なりに解釈することこそ、私の仕事で最も重要な側面の1つであると思います。
まとめ
私のWwise使用経験を共有することを提案してくれたAudiokineticに感謝しております。Wwiseはゲームですばらしい結果を達成することを可能にしてくれる必要不可欠のツールです。
『The Alien Cube』と『The Land of Pain』についての詳細は、Steamや私のウェブサイトでご覧いただけます:
The Alien Cube
The Land of Pain
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