レッスン 1
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メモリ負荷を削減する方法として、オーディオを光ディスク、ハードドライブ、フラッシュメモリなどから直接、ストリーミングすることができます。ストリーミングは、SoundBankのメモリを大量に独占してしまうような大きいオーディオファイルに適していますが、トリガーされてからロードを開始するため、わずかなレイテンシが発生する可能性があります。このため、ストリーミングは、リップシンクするダイアログなど正確なタイミングに依存する音には不向きですが、アンビエンスや場合によって音楽など、タイミングが一般的に致命的でない音に利用しやすいです。
ストリーミングは、SoundBankをロードするのとよく似ています。SoundBankをロードすると、コンテンツがCPUによってメモリにストリーミングされます。オーディオファイルをストリーミングする際に、ハードドライブやディスクからストリーミングファイルを呼び出すために、やはり多少のCPUが使われて、あなたの指定した設定に基づいて、ストリーミング後のデータはフラッシュ(flush)されるかメモリに保持されます。
ストリーミング設定は、Wwise Projectのオーディオ構造で設定します。それでは、ストリーミングをQuest 4 BlacksmithダイアログのSound VoiceというObjectでデモしてください。
Sound Voiceオブジェクトとは、一般的にダイアログに採用されるオブジェクトタイプで、複数言語に対応するために特別に設計されました。Sound Voiceオブジェクトを、Voiceと混同しないでください。 |
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Wwise menu > Layoutsで、Designerを選択します。
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Project ExplorerのAudioタブで、Actor-Mixer Hierarchy > Default Work Unit > World > NPCs > QuestGivers > Dialogue Blacksmithを展開し、Blacksmith_DialogueLine_Q4b_01を選択します。
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Object TabのGeneral Settingsタブで、Streamが選択されていることを確認します。
Streamを有効にするだけで、SoundBankの生成と同時に、インゲームでストリーミングされるサウンドがSoundBankの横にWEMファイルとして保存されます。
WEM(Wwise Encoded Media)ファイルはコンパイルされたゲームのアーカイブにあるWwiseの独自フォーマットです。 |
ストリーミングするファイルに関して、以下の設定オプションがあります。
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Non-Cachable: ストリーミングオーディオが再生されても、キャッシュが残りません。長いループや、もう一度再生されない音など、再生後にメモリにキャッシュしておく理由のないものに最適です。WAGでは、すべてのダイアログにこのオプションを選択しますが、それは通常は1回しか発生しないからです。
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Zero Latency: オーディオファイルの最初の部分に小さなバッファを作成することで、ストリーミングファイルのレイテンシを排除します。WAGの音楽に使うと便利で、同時に2つのテーマが再生されるため、トリガーするタイミングが重要だからです。
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Prefetch length (ms): メモリに保存する長さを、ミリ秒単位で設定します。WAGではすべて、デフォルト値の100ミリ秒にしてあります。
WAGの音楽、ダイアログ、アンビエンスがストリーミングされるため、ランタイムメモリは約57 MB節約できます。そのうちダイアログが占めるのは約37 MBで、できるだけNon-cachableを選択してメモリに残るキャッシュを削除した方が得策だということが、よく分かります。