レッスン 4
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いくつかのサウンドにおいて3Dでの扱いが不要な場合があります。 これは実際のゲームオブジェクトとして表されない要素として、音楽やナレーションなどがまさにこれに当てはまります。例えば、Cubeの3D空間でロックバンド自体を表現しようとすることはあまりなくても、その音楽を、ゲームを盛り上げるサウンドトラックとして追加することは考えられます。しかしながら、どのスピーカーから音が出力されるかの制御は、より一般的なアプローチとして出力先のスピーカーに対してサウンドのパンニングを行うことで実現できます。例として、ナレーションをLS、RSスピーカーに配置することでリスナーの後方から聞こえるようにしたり、音楽をフロントスピーカーのLとRのみから聞こえるようにしたりします。エミッターの3D空間における位置を無視してサウンドを配置する、この従来の方式を、Speaker Panningと呼びます。
Speaker Panningは、ゲーム内で目に見えるオブジェクトに伴う音などに使いますが、通常はオブジェクトがプレイヤーの視点から見て相対的に同じ位置にある場合に限り、採用します。例えば、Cubeではプレイヤーが魔法のジェムを投げるたびに、Wwizardの杖が空を切る音とともに画面外まで右に振れるアニメーションがあり、そこで新たに充電されたジェムが魔法のように再登場します。Speaker Panningを使って、空を切るwoosh音や魔法サウンドがCube内で個別のゲームオブジェクトとして扱われなくても、空間内の場所をとっているという控えめな感触を、表現できます。
2つの異なるサウンドに、同じポジショニングを付与することになるので、まずActor-Mixerに入れてグループにまとめます。Actor-Mixerオブジェクトはあなたのプロジェクトを整理するフォルダとして機能しますが、それに包含される全てのオブジェクトに対してプロパティ設定を素早く反映させる機能も利点として備えています。ジェムの再充電に関連するサウンドの場合は、ボリュームやパンニングなどの事柄を均等に調整したいので、Actor-Mixerに入れてしまえば同じような調整を2回も行う手間を省けます。
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Project Explorerで Gem_Recharge_Magic と Gem_Recharge_Woosh の2つのオブジェクトを選択し、右クリックして New Parent > Actor-Mixer を選択します。
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Actor-Mixerを Staff Recharge と命名します。
デフォルトで、スピーカーでパンニングするサウンドのソースチャンネルは共にリンクされていて、リスナーやゲームオブジェクトの、ポジションやオリエンテーションにかかわらず、フロントのLとRのスピーカーから再生されます。さらに柔軟性を増やすために、WwiseにBalance-Fadeという選択肢もあり、サウンドがサラウンド再生環境においてフロントとリアのスピーカーから聞こえるように各チャンネルのボリュームのバランスを調整できます。
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Staff Recharge を選択し、 Speaker Panning プロパティを Balance-Fade に設定し、 Edit をクリックします。
Speaker Pannerが開き、一般的な5.1chサラウンドサウンド環境の部屋の中央に人間を上からみた図が表示されます。
プレイヤーの頭の真上にコントロールポイントがあり、サウンドはサラウンドシステムの各スピーカーに分配されます。
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コントロールポイントを前方の右の方にドラッグします。
これで、ジェムが再充電される度に、杖の空を切るサウンドと魔法の充電サウンドが、プレイヤー視点から見て目の前の右方面から、聞こえてきます。
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Speaker Pannerを閉じます。