全てを取りそろえたWwise Spatial Audioツールセットや、それに含まれるWwise Reflectプラグイン、そして変化し続ける開発者のニーズに合った様々なワークフローの改善や引き込まれるような機能強化で、Wwise 2017.1があなたの想像力を解き放ち、パイプラインをすぐに効率化させ、ゲームオーディオの価値を格段と上げてくれるはずです。待ちに待ったWwise Authoring APIで、クリエイティブなプラグインやインテグレーションをビルドしたり、Wwise Audio Labをバーチャルスペーシャルオーディオのテストの場として利用したりできます。Audiokineticは、インタラクティブオーディオのコミュニティを強化するテクノロジーをリリースし続けられることを誇りに思い、皆様が今回のWwise刷新を充分に活用してエンジョイしてくれると、期待しています!
新しくなったWwise 2017.1の内容を、ここで簡単にご紹介します。
Wwise Launcherをアップデートすると、最新ビルドが見られます。
改善されたワークフローや機能
Event Editor
Event Editorはデザインが刷新され見やすくなったので、ワークフローが速まるはずです。ビューの大きさは自由に変えられ、複数のアクションのプロパティを比較表示できるようになり、Delayも表示されます。アクションのリストは整理されてカテゴリ別に表示されます。また、新Event Editorでは、複数のアクションやイベントを一括編集することができます。例えば、5つの異なるイベントに入っている12個のPlayアクションに設定されているFade In時間を、全て0.5秒だけオフセットするようなことが、一括操作で可能になりました。
States機能の強化
RTPCに添付できるプロパティの大部分がStatesでコントロールできるようになり、Wwise上のダイナミックミキシングの能力が大幅に広がりました。バスやオーディオオブジェクトのStateタブに表示されるプロパティを追加するには、列のヘッダ部分を右クリックしてConfigure Columnsを選択するだけです。Statesで動かせる全てのプロパティが表示されるので、ユーザーはStatesタブでプロパティの追加や削除をして、リストを整理できます。
Source Editorとチャンネルコンフィギュレーション
Source Editorビューで、オーディオファイルのチャンネルコンフィギュレーションを変更できるようになりました。例えば、4chのオーディオファイルであれば、コンフィギュレーションを変更して、3.1 (L,R,C,LFE)、3.1 (L,C,R,LFE)、4.0 (L,R,SL,SR)、Ambisonics (FuMa)、Ambisonics (AmbiX)、または4 (Anonymous) などにすることができます。また、このオプションを使えば、Multi-Channel Creatorツールを使わないでモノファイルをLFEに変更できます。
再生カーソル
Source Editorで、波形の表示を再生カーソルが追うようになりました。また、表示された波形の任意の場所をクリックすれば、その点から再生を開始できるようになりました。
LFOモジュレータ
LFOモジュレータの波形に、"Random"が追加されました。
List ViewやMulti Editorの改善
- Multi EditorやList Viewで、Notes(備考)の編集が可能に
- Multi Editorに、子の編集をする新たな方法を追加
- Multi Editorで、Eventアクションの編集が可能に
Language Manager機能の強化
今までは、選択できるランゲージが固定されていましたが、ランゲージの数やランゲージの名前をユーザーがプロジェクト毎に設定できるようになりました。
複数のWwiseインスタンスに対応
Wwiseを複数回、開けるようになりました。唯一の制限として、同じプロジェクトを何回も開くことができません。
Wwise Spatial Audio
Wwiseに組み込まれたWwise Spatial Audioは様々なスペーシャルオーディオ機能を集めたもので、それに合わせてインハウス開発やサードパーティ提供のプラグインも、シームレスにWwise制作ワークフローに導入できます。Wwise Spatial Audioが得意とするのは、音の伝播、バーチャル音響、そして空間情報を利用した音のレンダリングなどです。WwiseのSpatial Audio APIのおかげで、Wwiseにジオメトリ情報を送信する方法が複数できたので、ほとんどのゲームエンジンに簡単にインテグレートできます。UE4とのインテグレーションは提供中、そして進行中のUnity対応も年内にリリース予定です。
3Dバス
リスナーは、もう別個の存在ではなくなりました。ゲームオブジェクトとしてバスと関連付けて、3D空間に配置できます。
3Dバスはサウンドやリバーブのグループを、信号フロー内の好きなところでサブミックスして、さらにサブミックスを3Dワールド内に配置してくことで、音伝播の高性能なソリューションに使える部品を開発者に提供します。このようなサブミックスが、ダイナミックな部屋出入口や方向性のあるリバーブなど、スペーシャルオーディオのエフェクト実装に重要な要素となります。
Wwise Reflectプラグイン
Wwise Reflectは、ゲームからジオメトリ情報を受信して、リアルタイムでダイナミックなアーリーリフレクションを生成するエフェクトプラグインです。このシステムではパフォーマンスに配慮して、数回のリフレクションから何百ものリフレクションまで、ターゲットプラットフォームの利用可能なメモリやCPUに応じて規模を調整できます。Spatial AudioのAPIのおかげで、Wwiseにジオメトリ情報を送信する方法が複数できたので、ほとんどのゲームエンジンに簡単にインテグレートできます。UE4とのインテグレーションは提供中、そして進行中のUnity対応も年内にリリース予定です。
Wwiseで、リフレクションのボリュームやフィルターを設定したり、スプレッドの距離減衰カーブを調整したりできます。 吸音素材(acoustic textures)を模した4つのバンドのフィルターを反射面に設定すれば、木材や石こうボード、カーペットなどの素材の吸音をシミュレーションできて、適したフィルターをリフレクション毎に設定できます。制作段階では、Wwise Reflectプラグインの複数のデバグツールが直接ユーザーインターフェースに組み込まれているので、システムの反応が予期しやすくなり、比較的簡単に使えます。
Wwise Audio Lab
Wwise 2017.1の直後にリリース予定
Wwise Audio Lab (WAL) はUnreal Engine 4でビルドした3D環境で、Wwiseが提供する音響やスペーシャルオーディオの一連のテクニックやツールを見ることができます。ワールド内に配置された情報ノードを開いて特定の3Dオーディオ機能の使い方の確認や比較検証ができ、例えばいくつかの減衰カーブを異なるレイヤで設定することで可能なLOD(Level of details)、リバーブエフェクト、リフレクションエフェクト、バイノーラル設定、アンビソニックスアンビエンスとQuadの比較、方向性のあるリバーブなど、様々な機能があります。完成したWwiseプロジェクトが提供されているので、設定を替えて実験してみてください。
また、Wwise Reflectプラグインが生成するダイナミックなアーリーリフレクションをWALで試すこともでき、UE4などのゲームエンジンを使った開発中の3Dプロジェクトがあれば、このテクノロジーを使う判断材料にもなります。最後に、UE4ユーザー向けに、WwiseとUE4のインテグレーションの使い方がWALに詳しく掲載されています。
Auro-3D®
Mac、iOS、tvOS、Linux向けにAuro-3D®対応。
Wwise Authoring API
Wwise Authoring API (WAAPI) を使えば、どのような外部アプリケーションからもWwiseプロジェクトと直接、データをやり取りできます。WAAPIにはコア、サウンドエンジン、ユーザーインターフェースの3つのレイヤがあります。コアレイヤは、Wwiseプロジェクトのデータ操作のほか、Wwiseオブジェクトの取得、オブジェクトの情報設定、新規オブジェクトの作成など、様々なタスクを実行するために使います。ユーザーインターフェースレイヤは、ビューの内容、現在の選択項目、オブジェクトの精査などを制御できるレイヤです。WAAPIアプリケーションはC++、JavaScript、Python、C#など、インターネット対応の全ランゲージで作成でき、どのOSやウェブブラウザでも使えます。
WAAPIを取り入れることで、チームの生産性が格段に向上して、ゲームエンジンのインテグレーション、作業の自動化、リモートコネクション、ビューのカスタマイズなど、いくつかの作業分野の効率化が図れます。
ゲームエンジンとのインテグレーション
Unity Integration
今回のリリースでは、オブジェクトに特定コンポーネントを必ず追加しなくてはならない要件や、GameObjectsの自動登録など、今までユーザーを制約していた条件を取り除き、できるだけ自由に使えるようにしました。自動登録コードは、インストールするかどうかをユーザーが選択できるオプションとして提供されるようになりました。
新たなWwise Typeが追加され、ユーザーは自分でWwiseオブジェクトが表す機能を細かく設定できるようになり、規定機能のコンポーネントを添付する必要がなくなりました。新しいクラスにはそれぞれProperty Drawerがあり、クリックするとWwise Pickerが表示されるので、ゲームのオーディオシステムのプロトタイプが素早く作れます。
その他
対応プラットフォーム
- Wwise2016.2.3以降、Nintendo Switchに公式対応しています
- Visual Studio 2017のサポートを追加しました
- MetroプラットフォームがUniversal Windows Platform (UWP) に改名され、新たにVisual Studio 2017に対応しています
- Wwise 2017.1.0で、Xbox360、PS3、WiiUのサポートを終了しました
主なVorbis関連の最適化
大々的なVorbisの最適化が、高品質の設定に対して行われました(品質が高いほど、最適化が大きくなります)。各種プラットフォームの、Vorbis品質設定によって変わる改善率を、以下に示します(率が高いほど、稼働が速いことを示します)。
Mac Authoringが64ビットアプリケーションに
Mac Authoringが、64ビットアプリケーションになりました。これで、より大きいWwiseプロジェクトをロードできるようになります。
Wwise Launcherをアップデートすると、最新ビルドが見られます。
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