SoundBankを作成する時の判断によって、あとあとSoundBankの管理にかかる手間が変わってきたり、ゲームのパフォーマンス自体が影響を受けたりします。これから制作するゲームにとって最善の戦略を、オーディオクリエイターとプログラマーが協力して決めることが大切です。
WwiseでSoundBankを管理する方式はいくつかあるので、簡単に概要を説明します。
全てを1つのSoundBankで制覇する
メモリに余裕のあるゲームなど滅多にありませんが、全てのサウンドを1ヶ所にまとめると、とても使いやすく、管理しやすいという利点があるのも事実です。
メリット
- サウンドデザイナーにとって、SoundBankの中身が最も管理しやすい方法である
- SoundBankの中身を変更しても、ゲームをリコンパイルする必要がない
- ゲーム中にSoundBankをロードしたりアンロードしたりする複雑な手間を省ける
- ゲーム中に、どのサウンドがあってどれがないのかを把握しておく必要がない
デメリット
- ゲーム全体の全てのEvent、構成、メモリ内メディアが常にロードされている状態なので、メモリの使い方が効率的でない
レベル毎、シーン毎にそれぞれのSoundBankを用意する
シングルプレイヤーのゲームで、サウンドやモーションが1ヶ所から動かされる場合に最も効果を発揮する方式です。コンテンツを複数のSoundBankに分割することで、1つのSoundBankにまとめるよりもゲームの メモリを管理しやすくなります。
メリット
- 一般的に、「オールインワン」方式よりも少ないメモリで済む
- ゲームに簡単にインテグレーションできる
デメリット
- オンラインゲームやEventベースのゲームで、オーディオやモーションの要件が複雑な場合には採用しにくい
- メディアファイルが部分的に重複されてメモリにロードされることがある
- ディスク上のSoundBankの合計スペースが増加してしまうことがある
メディアタイプ別に分ける
ゲームが非常に複雑になると、サウンドをトリガーする方法を左右する要因が多数でてきます。例えばEventベースやオブジェクトベースの環境では、ゲーム内にある他のオブジェクトとの距離によって、ゲームのメモリにロードするサウンドが変わることがあります。つまり、ゲーム中の全てのオブジェクトに対して、そのオブジェクトが一定の範囲内にある時に、または単にそのオブジェクトが存在する時に、ロードしなくてはならないSoundBankの一覧表が存在するかもしれません。
メリット
- ゲームのどの時点でどのメディアをロードするのかを、コントロールできる
- メモリ使用が最適化される
デメリット
- どのSoundBankをいつロードするのかを決めるのに、オーディオクリエイターとゲームデベロッパ―がかなりの時間をかけて協議する必要がある
ダイナミックに
この方式を使うと、Eventをプリペア(準備)する時にロードするメディアを、細かくコントロールできます。準備されたEventと、現在アクティブになっているGame Syncの両方に関係する メディアだけが、メモリにロードされます。 どのEventとGame Syncが 可能かを指定するだけで、ゲーム側が適切なメディアをロードしてくれます。
メリット
- SoundBank生成の過程がシンプルになる
- メディアの細かさのレベルを最小限におさえられる
- 全体的に、少ないメモリ消費を維持できる
- プロセスを自動化しやすい
- 役に立つメディアだけが、ロードされる
デメリット
- ディスクの読み込み回数やシーク回数が増えてしまう可能性がある
- 全体のメモリ消費量をコントロールしにくくなる
- 準備するEventの数が大量になると、ストリーミング帯域幅が大きくなってしまう可能性がある
オフライン解凍
Vorbisオーディオファイルを事前に解凍しておくことが可能です。SoundBankサイズが大きくなってしまいますが、サウンドのトリガー時間を短縮できます。前述のどの方式とも組み合わせられるので、サウンドアセットの最適な管理に活用してください。
更に詳しく
関連するドキュメンテーション
関連するビデオチュートリアル
Wwise Quick Start- Creating SoundBanks
Wwise Tutorial 15 - Creating and Managing SoundBanks
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