PART 1: Dehumanizer Live : ボイス加工に特化した革新的テクノロジー
CEDEC2017 Audiokineticスポンサーセッションでは、Wwiseのダイアログワークフローについて講演を行いました。ゲストスピカートして、Dehumaniser Liveの開発元Krotos社より、Adam Levenson氏、Matthew Collings氏、そしてダイアログ収録のスペシャリストとして、RocketSound社のTom Hays氏をお招きし、Wwiseを使用した新しいダイアログ制作の可能性について講演を行いました。Audiokineticプロダクトエキスパートの牛島正人より、Wwiseのダイアログに関する機能について解説を行いました。
昨今のゲームサウンド開発において多くの作業量を要する分野としてダイアログの作業が挙げられます。ダイアログの工数を効率よく減らすことで、効果音、BGMに対する作業割合を上げることが可能です。多くのゲーム開発会社では、ダイアログの管理をスプレッドシートで行っているケースが多く、Wwiseはデータベースから直接音声データをインポートすることが可能です。event, propertyの設定まで一括でインポート可能であり、非常に高速に且つ確実なダイアログ実装データを作ることが可能です。
Wwiseへのダイアログ実装が終わると、Dehumaniser Liveの出番です。Matthew Collings氏によるDehumanaiser Liveの基本機能の紹介、プリセットのでモンストレーショが行われました。モンスターボイスにしたり、ロボットボイスにしたり、用意された多くのプリセットを試すだけでも色々なアイデアが浮かびます。Wwise上でパラメーターを調整しながらモニタリングも可能であり、さらにはRTPCと連動することでゲーム内でインタラクティブな演出も可能になります。Wwiseのプラグインとして動作している為、DAW上で収録された音声データをエフェクト加工して再度出力するような作業も、必要がありません。
Wwiseは多言語対応をサポートしています。Sound Voice Objectとして音声データをインポートすると、Language設定ごとに切り替える事が可能になります。インポート方法は、同一ファイル名で違う言語音声をインポートするだけで、Wwiseの名前検索の自動機能により、同一objectに格納されます。ファイル名さえ一致させていれば、Wwiseへの実装はDrag&Dropするだけです。ヒューマンエラーも発生することがありません。そして、Dehumaniser Liveでモンスターボイスを作っている場合、違う言語に切り替えたとしても、まったく同じ設定を適用させることが可能です。そのため、これまでのような言語ごとにエフェクト設定を適用させる、という作業が不要になります。
Tom Hays氏からは、アウトソースベンダーの視点から典型的なダイアログプロダクションの流れと問題点について言及がありました。一番の問題として、収録後の音声ファイルがゲーム内でどのように利用されるのか全くわからない点です。しかし、WwiseのWork Unit機能を使うことで、Perforce等のバージョン管理システム経由で実装データを納品できるようになったため、アウトソースベンダー側でクオリティーコントロールを行うことが可能になりました。ゲームビルドを提供してもらえるプロジェクトでは、ゲーム中のダイアログ再生、品質をチェックを行う事が可能であり、Wwiseのダイアログ機能を使う事で作業効率、クオリティともに大きく改善することができます。
最後にWwiseのVorbis機能改善について説明がありました。いまやソーシャルゲームでも音声ファイル数が1万個近くに達するゲームもあり、ゲーム機の性能が飛躍的に向上したとはいえ、サウンドのデータサイズ圧縮はまだまだ重要です。Wwise VorbisはAudiokinetic社独自の改良がくわえられています。波形データや設定にもよりますが、これまでと比較すると20%以上の最適化が行われています。ダイアログワークフローの改善だけでなく、パフォーマンスを最大限にすることが可能になります。
当日のAudiokineticスポンサーセッションの様子はYouTubeに公開されています。セッション資料はCedil (CEDEC Digital Library)に公開されています。
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