こんにちは、また会いましたね!今回も、私が開発中のタロット音楽ジェネレイションゲーム「Divinuet」のインタラクティブミュージックについてです。まだパート 1を読んでいない方は、まずそれを読んでゲームの仕組みを理解してから、この記事を読むといいと思います。
パート 1でお伝えしたように、このゲームは大きく分けて2つのフェーズがあります。パート 1ではReading(読み上げ)フェーズを見ましたが、これは3枚並べたカードを一枚ずつ、そのテーマ音楽を聞きながら意味を知る段階です。今回は、具体的なカードの取り合わせや順番からつくられる独特の音楽体験と視覚体験を生み出す、Generative(ジェネレイティブ、生成)フェーズの話です。
音楽 |
「Divinuet」のジェネレイティブフェーズで再生される音楽の4つのレイヤは、占いで出た3枚のカードの内容や順番によって決まります。ここでは分かりやすくするために、4つのレイヤをバス(最も低い)、テノール(中低)、アルト(中高)、ソプラノ(最も高い)と呼ぶことにします。
まずバスのレイヤは、占いで一番目立つスートによって決まります。タロットのスートは、大アルカナ、ソード、ワンド、カップ、ペンタクルの5種類です。3枚のカードがそれぞれ別のスートかもしれないので、バスのレイヤとして6つの可能性が出てきます。それぞれのスートに独特の雰囲気があり、それをバスに反映するように努めました。下に、いくつかの短い音楽を入れておきます。ペンタクル(土、シンプル)、ソード(知性、行動)、そして主要スート無し(できるだけニュートラル)です。
ほかのレイヤでは、78枚のカードを、意味に基づいて3枚ずつ、26のグループに分けました。どのグループにもテノール、アルト、そしてソプラノの部分があります。例えば、占いで出たカードの1枚目をテノールレイヤ、2枚目をアルトレイヤ、3枚目をソプラノレイヤで表す、といった風にしました。こちらは、異なるグループを把握するために私がつくった、なんともプロフェッショナルな表です。
さっそく、グループ2を例に見てみます。このグループのカードは、どれも何らかの悩みが感じられるものです。そこで、ドラマチックで哀愁のあるストリングスを選びました。テノールはチェロ、アルトはビオラ、そしてソプラノはバイオリンで奏でました。以下は3つのレイヤを合わせた音楽(バスのレイヤなし)ですが、このレイヤの組み合わせを聞けるのは、占いで出たカードが3枚とも、グループ2だった場合です!ここに出てくるレイヤのどれかと、ほかのグループのレイヤが組まれる可能性の方が、はるかに高くなります。
そしてこちらは、グループ5の3つのレイヤで、休むこと、待つことを意味します。
音楽家の人は「待って、ミーガン!キーが同じじゃない!どうやって組み合わせるつもり!?」と言うかもしれません。はい、よく聞いてくれました!
ルール |
複数のレイヤがあり、全部を聞くことは無理なくらいの数の組み合わせがあるなか、どの場合でもしっくりとつながる必要があったので、厳密な作曲ルールを決めました。最初の、おそらく一番分かりやすいルールは、全てのレイヤのテンポと拍子記号を同じにすることでした。私が選んだのは、80bpmと4/4です。
さて、これでテンポが合うようになりましたが、音符やコードの方は?タロットカードで表現される感情や意味は多岐にわたるので、従うべきコードを1つだけにするのは良くないと思いました。
そこで私がたどり着いた解決策は、4小節のフレーズに分けることでした。バスレイヤは、1つのフレーズで1つの音符だけを再生します(リズムは問いません)。メロディ担当のレイヤーには、バスとぶつからない限り、どの音でも使えます(あえて不協和音を使ったグループも多少あります)。ほかのレイヤが伴奏となる場合は、そのレイヤでもバスと同じ音しか再生できませんが、オクターブはそれぞれのレイヤのオクターブとなります。その結果、音が対立することはありません。
伴奏のリズムは本当に様々です。とてもリズミカルなものもあれば、細かい華やかな飾りもあれば、ドローンもあります。属しているカードグループの雰囲気によるのです。
それはともかく、どのレイヤでどの音を再生しても良いのかを、表にまとめました!
なお、Phrase 5とPhrase 9は2分割されていて、5bと9bではレイヤでFとCの両方を演奏できることに気付いたかもしれません。それは、音楽が特定のムードに偏り過ぎないように、空虚五度で終わらせたかったからです。
また、新しいレイヤが初めて入ってくるのが、ちょうどダウンビートのときだと、いびつな感じがすることがあったので、新しいレイヤの直前にピックアップをよく追加しました。もちろん、ルールは守る必要があります。だから、例えばフレーズ4のメロディのピックアップをソプラノで欲しい場合、実際にはフレーズ3の中で起きることなので、ピックアップ音はBbでなければいけません。
以上の音楽は、占いを追いながらの方が理解も深まるので、早速聴いてみましょう!下のカードが出たときの音楽のデモです。(絵柄はSarah Seekins作)
card 1は「4 of Swords」(ソードの4)、card 2は「5 of Cups」(カップの5)、card 3は「Queen of Swords」(ソードのクイーン)です。そこで、Bassがソード、Tenorがグループ5(休み)、Altoがグループ2(悲しみ)、Sopranoがグループ25(野心)となります。
では、カードを少し変えてみます!
card 1は、同じカード。そしてcard 2は「Ace of Pentacles」(ペンタクルのエース)で、所属するのはグループ26、土の現実的なグループです。「5 of Cups」は、card 3に移しました。流れるのは主要スートがないときのバス、先ほどと同じテノールレイヤ、まったく新しいグループのアルトレイヤ、そして悲しみあふれる音は前の例のアルトレイヤのビオラから、ソプラノレイヤのバイオリンに変わりました。
占いの読みは似ていそうなのに、音楽が実は大きく変わる例として、分かりやすいデモだったことを願っています!ほんの2例ですが、実際のゲームでは、組み合わせの可能性が何千通りになります。
実装 |
この部分の実装は、実はReadingセクションよりもずっと簡単です。1つのレイヤーにつき1つのトラック、合計4つのトラックを含むミュージックセグメントをつくるだけです。
各レイヤには、スイッチで切り替わるサブトラックが入っていて、サブトラックにそれぞれのステートが紐づいていて、ゲームは出てきたカードを把握してからステートを設定します。まだバスのセットアップしか終わっていませんが、こんな感じです。
実はこれ、AudiokineticのダミアンとTwitchストリームを行い、そこでセットアップしました。 ご興味ある方は、是非ご覧ください!
本来はここで、ゲームに全体がどのように収まっているのかをお見せするところですが、ジェネレイティブ部分に表示するアートワークがまだそろっていなく、テノール、アルト、ソプラノのレイヤもプログラムされていません。何もない画面にバスのパートだけが流れるのでは、ちょっとつまらないかもしれません。でも完成すれば、占いの様子が毎回、違った見え方や聞こえ方になります。
「Divinuet」の進捗をこれからも知りたいと思ったら、Twitterで@divinuetgame をフォローしてください。私は Twitchのストリーム でも、「Divinuet」の音楽やプログラミングの作業をしています。また、本作を予約すれば、特典もあるかもしれないので、興味のある方は是非 ここから どうぞ。
お読みいただき、ありがとうございます!
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