まもなくリリース予定の Wwise Authoring API (WAAPI) を試してみようと、2017 年 4 月 7 日(金) に Audiokinetic で社内ハッカソンが開催されまし た。ブランディング好きな Audiokinetic では、イベン トを AK-thon(アッカソン)と命名!
プロジェクト条件は、WAAPI のコンポーネントを 1 つ以上取り入れること。他のテクノロージーを併用 することも可能で、ランゲージや環境は各チームが 自由に決めました。ちょっとエキセントリックなコン セプトから真剣な概念まで、2~5 名で構成された 各チームは、様々なクリエイティブなアイディアを提 出して、1 日という期限付きで作業をしました。
みんなでハッピーに過ごした WAAPI Day の成果から、4 つ のプロジェクトをご紹介しま す。
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3D Attenuation Visualizer(減衰の 3D ビジュアライザー)
チームメンバー: Benoit Santerre、Pascal Viandier
目標: Unreal Engine の 3D スペース内に減衰カー ブを可視化して、Wwise で修正した時に、リアルタ イムで変更されるようにすること。
-サマリー by ブノワ・サンテール(Benoit Santerre)
ゴールは、音の減衰カーブを3Dの世界(今回はUnreal Engine 4)で再現すること。WAAPIを使ってサウンドオブジェクトの減衰カーブを取得して、それをUnreal EngineのProcedural Mesh ComponentでZ軸まわりに回転させてみました。するとUnreal Engineの3Dビューで音源のまわりに円錐状のような形ができ、音が距離との関係でどのように減衰するのかが簡単にイメージできるように。Wwiseでカーブを修正すると、Unreal側のメッシュが自動的にリフレッシュされ、楽にミキシングのイテレーションができます。
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Infinitely Random Ambience(無限にランダムなアンビエンス)
チームメンバー: Shawn Laptiste、Alexandre Lessard、Kristian Mah、Axel Helie Fontaine、Brian McHugh
目標: 音響分析とオーディオベース音楽情報検索のEssentiaを使い、FreeSoundのデータベースにある類似サンプル音から、アンビエンスやテーマ音楽を作成すること。サンプル分析に、スペクトル、時間、トーン、ハイレベル音楽記述子を使用。
-サマリー by ショーン・ラプティスト(Shawn Laptiste)
このハックの目標は、WAAPIを使って、入力されたテンプレートサウンドを基にWwiseでサウンドのランダムなシーケンスを作成すること。テンプレートサウンドの分析処理にEssentiaを使用しました。次にEssentiaの分析で抽出したデータを元に、 Freesound APIを使ってFreesoundでクエリをかけます。次にWAAPIを利用して、新しく見つけた類似サウンドをWwiseプロジェクトにインポートします。そして、これらのサウンドのスニペットを、シーケンスコンテナの中の、ランダムコンテナに入れて、ブレンド長さをランダムに設定することで、元のテンプレート音と似ていながらも思わぬところで変容するオーディオを作成しました。
The Wwise Grabber: Leap Motionコントローラで音響編集できる、ハンドジェスチャー・インターフェース
チームメンバー: Xavier Buffoni、Thalie Keklikian、Nathan Harris、Alexandre Savard
目標: コントローラのインターフェースを使って、WAAPI経由で3Dポジションをコントロールして、リスナーやエミッタ―(Event)を移動したり、減衰カーブを描いたり、サウンドを伸縮させたり、(オプションで)3Dモデルをインポートしてジオメトリに応じて変化するリバーブをシミュレーションしたりできるアプリケーションを作成すること。
-サマリー by タリ―・ケクリキャン(Thalie Keklikian)
Wwiseを、映画マイノリティ・リポートのようなハンドジェスチャーでコントロールしようというのが、プロジェクトの元となったアイディアです。自宅でリープモーション(Leap Motion)のデバイスをさわり始めたばかりという、チームメンバーのAlexの発案です。リープモーションコントローラは、USB接続のセンサーで、両手をその上で動かした時の手の位置をIRカメラでトラッキングします。そのSDKを使うと簡単に指、手、腕を検知できます。手の左右も見分けられます!
WAAPIによって、Wwiseでできることを全て、インターフェース画面を全く使わずにできます。今回のハッカソン用にWAAPIから抽出した主要機能は、現在のEventの再生、次のEventへの移動、そしてRTPC値の設定。3つの異なるジェスチャーも作成しました。Event再生には、指を一本指すジェスチャー。検知された指の本数が1本かどうかをコードで確認して、1本であれば、noneゾーンからタッチングゾーンに向かったかどうかを確認します。次に、全ての指を広げるジェスチャーで、今のEventから次のEventに変更させます。Event再生中に、第3のジェスチャーで音を変化させます。これがつまむジェスチャー、名付けて「grabber(グラバー)」です。目に見えない透明ノードを指でつまんでリープモーションのXY軸にそって動かすと、このポジションがRTPC値として送信されます。Wwiseプロジェクト側では、いくつかのEventを作成して、1つの音と、2つのRTPCで変化する何かを、それぞれに入れました。例えば、サイン波とのこぎり波でできたWwise Synth One SFXを再生するEventです。宙をつまんでY軸(縦)方向に動かすと、base frequency(基底周波数)が変化します。一方、X軸(水平)方向に手を動かすと、sawtooth(のこぎり波)がトランスポーズされます。
結果はかなり感動的でした。まるでテルミン(かなりベーシックなもの)を弾いているようです。もちろん、1日で仕上げたので、最終プロダクトはとてもパーフェクトとは言えません。つまむジェスチャーと他の2種類のジェスチャーを左右別々の手にするなど、あえて簡素化して、つまむ動作が勘違いされて他のものがトリガーされるのを防ぐ工夫をしました。それでも時々、リープモーションが「右手」と検知せずに違う機能を呼ぶこともありましたが、楽しいプロジェクトとなり、それが一番大事!このWAAPIプロジェクトから、色々な可能性が広がりそうです。VRでWwiseオーサリング機能を使って、ハンドトラッキングシステムでゲーム中にカーブやパラメータを調整できるかも!
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Wwise Engine Authoring Link on OBD2 (略してWEALO、発音は「ウィ、アロー」)
チームメンバー: Francois Thibault、Tai Vuong、Maximilien Simard Poirier、Simon Ashby
目標: 自己診断機能OBD2のリアルタイムのハードウェアインターフェース、またはオフラインのトレースから、合成エンジン音を左右するエンジン関連パラメータ(RPM、車両スピード、エンジン負荷)を直接抽出すること。これを、Wwiseランタイムパラメータに使い、合成エンジン音設計をよりリアルな状態でテストしたり、シミュレーションしたりする。
-サマリー by フランソワ・ティボ―(Francois Thibault)
車のエンジン音を設計する上で、最低でも初歩的な物理シミュレーションアプリケーションがないと難しくなることがよくあります。このため、ある程度のプログラミングをしておかないと、サウンドデザイナーが車両音の設計を始められません。そこで、OBD2の診断ハードウェアインターフェースで本物の車から抽出したデータを、リアルタイムで取得するか、以前にキャプチャーしたデータを再生して、Wwiseで合成エンジンサウンドを左右するRTPCパラメータであるRPM、車両スピード、エンジン負荷などを、WAAPI経由で直接利用してWwise SDKインテグレーションを省略するということを考えました
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更に詳しくWwise Authoring API (WAAPI)を知る。
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